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BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2009年 05月号

ようやく読んだのでコメントというか何と言うか。毎月何かメモを残すことに決めているので。

長島大野の記事は、どこかの大手事務所へのアンチテーゼというか、批判にも読めてしまうので、なんとなくニヤニヤしてしまった。特に「力の強い弁護士が事務所の若手弁護士やスタッフを独占してしまう」とか「グループの構成員同士の結束力が強すぎると、"事務所内事務所"のような存在になってしまうおそれもあります」というあたりは。また「高度な日本法サービスは外資系事務所と競合しない」というあたりは、クライアント側の行動もそうなっているだろうから頷けるところ。

CISGの記事は、微妙にもやもやした感じが残る。CISGの射程が中途半端な感じ(一定分野においてでも、これに頼れば何でも大丈夫というものではない)ところがそもそもの問題の原因(これ自体は仕方のないところだろう。出来るところから始めたという面があるのだろうし、そういうものであるからこそここまで広まったという面もあるだろうから)の一つなんだろうと思うが、どうしたものか、というのが正直な感想。とりあえずはopt out(排除)から入るのだろうけど、それも、交渉の場にどのように持ち出すのか、というところがあるし(その意味では余計な手間が増えたという思いが残る)、一方で何とかうまく使えないかという気もしなくもない。とりあえず、まったく知見のない国で、締結国であればopt inしておくことで予測可能性を上げるという程度の使い方しか思いつかない。

あと、実は気になっているのは、なぜイギリスがCISGから距離を置いているか(所謂先進国で加盟していない最後の大物)、という点。この点はこの記事では触れていない(採用に動いた方々が記事を書いている所為もあるのだろうが)が、そのあたりが書かれているとこの条約の問題点をよりはっきりと示すことが出来たのではないかと思う。
(なお加盟国一覧は次のところに国旗つきで出ている。ついでにイギリスの態度に関するコメントも出ていて、さもありなんというコメントがついている。個人的にはこういうイギリス人の態度は(それが本当だとしても)嫌いではない)
「法的リスクの見落とし事例」の特集は、他人事ではすまない話ばかりで、「うーむ」と思うことが多い。こういう記事は、適当な間隔で読むことで、自分の中で注意喚起をすることが、契約審査担当者としては重要ではないかと思ったりする。

個人的に特に印象に残ったのは、次のとおり。
  • 秘密保持契約の中で競業禁止条項がある場合の措置
  • 国際取引契約における印紙税の扱い(外国が締結地になった場合には日本の印紙税法の適用はないが、その旨を記録で残すことも重要)
  • 通知義務とインサイダー取引の関係(正直体験したことがないので、まったく考えたことがなかったがなるほど確かに、と思った次第)
  • 輸入者がPL法上は製造業者としての責任を負う可能性がある点(あまり今の勤務先では想定されないが気をつけないといけないと改めて思った次第)
  • 製品事故の際の消費生活用製品安全法に基づく対応
  • 社内で研修資料として文献コピーをする際の注意点
  • 制作委託の場合の著作者人格権の処理、形態模倣に対する不正競争防止法による保護
  • web販売における確認画面の意味(電子契約法3条による錯誤無効の主張の適用排除と同14条の適用排除)
  • SNSでは「迷ったら削除」が法的リスクの観点からは正解
Eディスカバリーの記事は、一般論的でいまひとつ。日本企業の場合、日本語の資料の扱い(文字コードの話もあるし、OCRの精度が英語ほど高くないこと)が面倒になると思うのだが、そのあたりまで踏み込んで欲しかったと思う。もっともかなり技術的な話になると思うので、そういう記事は専門業者の人か、経験した企業の担当者でないと書きにくいだろうけど。

第2特集については、これまたなるほど、と思うけど、どこまで出来るかは、実は難しいような気がする。ただ、内部統制関連のコストに関する指摘には、思わずニヤッとしてしまった。どこも同じ問題を抱えているということの証左なのだろう。まあ、記事の結論にあるように、昨今の情勢だからと特に意識せず、通常の業務いにょり、リスクやコンプライアンス違反を回避することこそが法務の一番のコスト削減への貢献であることを忘れないようにしないといけない。その意味で法務として一番考えないといけないのは外部の弁護士報酬で、「リーガルコスト節減のためのひと工夫」の記事では、内部通報窓口を外部企業に委託する点は興味深かった。

「差し込まれないための交渉力トレーニング」の記事は、いつもながらにありそうな話に基づいていて、思わず色々考えてしまう。今回の事案については、実践でのトレーニングの重要性を感じた。ややもするとA君が最初にしたような対応をやってしまいがちなのではないかと思うが、交渉afterのようなことを初動段階でどこまでできるか、が重要と思う一方で、そのためにはやはり実戦に近い形でトレーニングしないと難しいと思う。僕自身はこういう事案を担当した経験がないので、正直どこまでのことが出来るか心もとない。

商号の続用に関する記事は、取り上げられている事例とは異なるが、M&Aのケースで商号の続用が問題になった案件を扱ったことがあるので、興味深かったが、「新」と旧来の商号につけたから、今までの商号の継続とはならない、という事例の射程がどこまであるのか気になった。


目次は次のとおり。

[第1特集] うっかりミスでは許されない!法的リスクの見落とし事例
技術開発に潜む契約上のリスク

西村千里 パナソニック電工 法務部 海外法務グループ 兼 政策法務グループ グループ長
国際ビジネスで陥りやすい失敗事例

三井物産 法務部
鳥海 修 企画法務室長 / 高野雄市 法務第二室長
トラブル条項から学ぶ取引基本契約の審査

滝川宜信 明治学院大学法科大学院教授
製品安全・事故に関わるリスク管理の落とし穴

日下部真治 弁護士
あらためて気をつけよう 株主総会対応でのミス

斎藤 誠 中央三井信託銀行 証券代行部 法務グループ 室長 兼 主席法務コンサルタント
気をつけているのになぜ?著作権等侵害トラブルはこうして起きる

宮川美津子 弁護士 / 升本喜郎 弁護士
重大トラブルの引き金となるインターネットに関わる判断ミスのリスク

森 亮二 弁護士

[第2特集] コスト削減!法務の対応は?
リスク管理・内部統制の見直しによるコスト削減

機械メーカー法務担当者
購買活動のリーガルチェックはここがポイント

部品・素材メーカー法務担当者
リーガルコスト節減のためのひと工夫

メーカー法務担当者

Focus
ウィーン売買条約が契約実務に及ぼす影響は?

条約締結の経緯とその概要~日本法との比較を交えて~
曽野裕夫 北海道大学大学院法学研究科教授

〔座談会〕 ウィーン売買条約発効後の実務対応【1】
吉川英一郎 大阪学院大学法科大学院教授 / 大貫雅晴 日本商事仲裁協会理事 /
小林和弘 弁護士 / 竹下 香 ダイハツ工業法務室室長


Interview
高い個人能力と一体感を持った組織力が「最高レベル」のサービスを生み出す

長島・大野・常松法律事務所


OPINION
労務コンプライアンスのすすめ

森岡孝二 関西大学経済学部教授
Inside Story
ネット法 vs アンチ・ネット法

渋谷高弘 日本経済新聞社 編集委員
連載
実務解説

賃借人側から見た建物賃貸借契約の留意点
辻 拓一郎 綜合警備保障 総務部法務室担当課長・弁護士
企業会計法Current Topics

日本とIFRS(1)
弥永真生 筑波大学大学院教授
プラクティカル英文契約講座

「履行困難条項」
長谷川俊明 弁護士
Global Business Law Seminar

ケープコッド風力発電所事件
久末弥生 明治学院大学法科大学院助手
Global Legal Headlines

米国のEディスカバリーに関する実務上の諸問題
スコット・ノナカ 米国弁護士 / アーロン・ロフカー 米国弁護士 / 内藤裕史 弁護士
独禁法違反になる?ならない?「不公正な取引方法」の境界線

ライバルの「取引妨害」に目をつぶるな!
森・濱田松本法律事務所 玉木昭久 弁護士
差し込まれないための交渉力トレーニング

取引先倒産時の対応―どうやって交渉に持ち込むか
双日 法務部 岩本憲二
アメリカ法スケッチブック

ロボット戦争
木俣由美 京都産業大学教授
説明の技法

商号の続用
岡 伸浩 弁護士
今すぐ使える!? IT Tools&Tips

督促手続オンラインシステムを使ってみた!(前編)
たつき総合法律事務所 平岡 敦 弁護士/たつき総合法律事務所 柴 詠美子 秘書
Legal×Marketing→Branding!

法的権利による保護の城郭を築く―毀損にさらされるブランドを守るために
インターブランドジャパン
矢部宏行 エグゼクティブコンサルタント / 向井賢二 シニアトレードマークコンサルタント
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