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アメリカでの陪審への説示

知財のことはさっぱり分からないものの定期的に見ている知財情報室、陪審員説示のテンプレート(特許訴訟用)とその実例へのリンクがあった。

で、早速実例の方をざっと見てみた(よって、正確さは保証できないが)。全部で67ページあって、内容は次のとおりの模様。
  1. p1は表題
  2. p2-15は証拠とは何か、証拠の書類、juryとしての義務、立証責任というようなjuryに対する一般的な説明。
  3. p16で当事者および今回のケースについての簡単な説明
  4. p17-64で、特許侵害訴訟における各要素の説明を、本件においてはどういう関係があるか、それぞれの要素についてどういうことを考えないといけないかを説明
  5. p65-66で、juryの中で代表(foreman)を決めることと評決のまとめ方についての説明
  6. 最後のページで、必要な場合に裁判官と連絡をとる方法についての説明。
Model Patent Jury Instruction、つまりテンプレートも同じくらいの分量で、特許制度の説明から、特許侵害についての説明が、平易な英語で書かれている(実例の上記4の部分とあわせ、米国特許制度の入門として読むことも可能かもしれない)。
それにしても、各頁にそれほど文字が多くないとしても、説示が70頁あるというのは、本人の能力はどうあれ、素人にはキツイかもしれないなあ、というのが率直な印象。平易な言葉で書こうとしていても、これだけの分量を見ただけで頭痛くなる人が出てもおかしくないし、そもそも陪審員がきちんと英語を読めるのかどうかの保証もない(100%確実ではないが、識字率テストのようなものはできないはず:話はそれるがFully Informed Jury Associationという組織もあって、Juryの役割について啓蒙しているようだ。)。

説示だけでもこれほど長いのに、事案そのものについて、juryが見せられるやり取りが複雑なもの(特許とか医療過誤とかはそうなるだろう)だと、本人たちがいくら一生懸命でも、理解度には限界があるのではないかと思わざるを得ない(慣れで改善可能な問題かもしれないが、そもそも慣れをあてにするような話ではない)。

陪審員の理解度については、テストしたケースもあって、現物は手元にないが、論文で、模擬陪審でテストした結果、陪審は説示を覚えていなかったり、理解していないケースがままあり得るという話は昔読んだことがある。

それでもなお、アメリカ人は陪審をしようというのだから、これは裁判所への不審とか、そういうものに基づくものであると見るべきだろう(和歌山県弁護士会のハワイの陪審制度ヒアリングでもそのようなコメントが出ている)。

日本の裁判員制度の場合、評議に裁判官が入るので、裁判員の誤解や理解不足を補うことができるのかもしれないが、そんなことに時間を取られて、評議に入るまでに多大な時間を要することも考えられる(裁判員制度は重大な刑事事件にしか適用しないと言っても、相応の説明が必要になる事案が出てくるだろうと思う)。

裁判員制度との比較で参考にすべきは、典型的な事案については、説示(という言い方は適切ではないかもしれないが)のテンプレートを用意しておくことではないかと思う。それで裁判官の負担は随分と軽減されるのではないかと思う。

個人的には裁判員制度には反対だが、やるのであれば、裁かれる側にとっても、裁判員の側にとっても、おかしなことにならないよう、裁判所の方々には頑張っていただきたいものだと思う。

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