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調べもの/探しもの

部内の勉強会で講師役が回ってきた。お題はe-Discoveryとのこと。
アメリカでの訴訟手続きの中で手間がかかることでNotoriousなDiscovery手続きが、デジタルデータを含む(書面とは別のものとして)形に変更(連邦民事訴訟規則(FRCP))されたことを受けて、e-Discoveryと称するようだ(専門用語として認知されているわけではないようなので、定義もよく分からないが)。

若い衆も含めた勉強会で時間も長くないので、基本的なところを調べて発表することになる見通し。

たまには法務的なことも書こうと、「追記」では発表用のレジュメのメモ(ここに書けないような情報も付加するので、このままは使わないが)を打ってみた。長文注意。
「アメリカの民事訴訟」/モリソンフォースター外国法事務弁護士事務所、には、Discovery自体の定義と目的について次の記載がある。

ディスカバリーには、トライアル前のすべての証拠開示方法が含まれる、例えば、当事者は、デポジション(証言録取)(宣誓した証人に法廷外で口答で質問し証言を記録)や、インテロロガトリー(質問書を他の当事者に送付し返答を要請)を通じ情報収集できる、また、「文書提出要請(request for production of documents)」送達により、他の当事者の文書を調査できる。他に、他の当事者にある事実を真実である旨の承認を求める「事実の承認」要請、(人身損害賠償事件等での)身体検査等がある。

ディスカバリーは、①トライアル前に事実を知る、②訴訟の争点を明確にし、狭める、③トライアルでは得られない可能性のある証言を保全するという3つの基本目的に適している、ディスカバリーで事実が開示されると、当事者が各自の主張の強みと弱みを理解し訴訟の価値を現実的に見ることができるため、和解促進にも資する。



こういうDiscovery手続きがe-Discoveryによってどうなったのか、というあたりが今回のお題。と、いっても部内の若い衆はDiscovery自体を知らないので(僕だってきちんと知っているわけではない)、上記のようなイントロを噛ます必要があるのだろう。

とはいえ、e-DicoveryはDicsovery全体の中で証拠提出に関する部分と考えるので、時間の兼ね合いもあるから、デポジション(これ自体慎重な対応を要するので、簡単に紹介できっこない)とかの話は今回は無視して、証拠開示が電子化されたことによりどうなるのか、どう対応することになるのか、というあたりを調べて発表することになる。

ネットを探すと、日本企業向けの日本語の資料があった。
http://www.digitalforensic.jp/archives/2006/yoshida.pdf

以下上記の資料を読んでいて気になった点と自分のコメントのメモ(引用部分は上記のpdfから)。

  • 電子データなので、量も多いし、同じデータがあちこちにあるということが容易に想像がつく。まあ、隠そうとしても隠し切れるものではないのだろう。制裁も厳しい(罰金も高額だが、訴訟遂行上の制裁もある)。したがって、まずは、資料の保存(Litigation Hold)が最初のステップになるのだろう。
  • その義務はいつから、というと、Zubulake case(Zubulake v. UBS Warburg, 220 F.R.D. 212 (S.D.N.Y. 2003).この件は複数の訴訟があったが、e-Discoveryとの関係でまとめたものがネット上にある)では次のように示された。

    証拠を保全する義務は、当事者がその証拠を訴訟に関連すると通知された場合、またはその証拠が将来の訴訟に関連するかもしれないと認知するべきであった場合に発生する。

    個別個別の事案で、いつがその時期に該当するのか、というのが判断に迷いそう。
  • 証拠保全で何をしたらいいのか、が次に来るのだが、電子情報との関係ではメールの取り扱いが悩ましい。トラフィックの大きなところで、すべてのメールのバックアップを取っておくというのは、僕には現実的には見えない。この点との関連では、FRCP Rule 37(f)で次のように規定がある。

    裁判所は、特殊な状況を除き、当事者が電子情報システムの日常的かつ誠意なる操作の結果として失われた電子情報の提出を怠ったために制裁を負わせてはならない。

    2006年の改定時のコメントによるとこの内容については、次のとおり。

    Rule 37(f)の誠意の要件の意味は、当事者がある情報システムの日常的操作をディスカバリーを妨害する目的で悪用して、保存するべき情報を破棄するために、その操作を継続してはならないということである。

    ここからすると、メールサーバーの自動削除機能はとめないといけないということになりかねない。
  • もっとも、メールサーバーの自動削除機能を止めるとなると、不合理な分量のメールを保存することになりかねないし、そんなものを全部出されても相手も困るだろう。この点については、FRCP26(b)(2)に規定がある。

    書類の非開示を主張する側は、要求された情報は労力又はコストの超過(undue burden or cost)により合理的入手可能ではない(not reasonably accessible)と立証しなくてはならない。

  • 秘匿特権の扱いについても手続きが変わっている。原則開示で、例外的に非開示に出来るという発想は変わらず、秘匿特権の有無の判断基準も変わらない。
  • 手続き全体については、基本は当事者の交渉ごと。裁判所の関与は限定的。
  • 電子情報のメタデータについても、場合によってはメタデータも含めて提出を求められる場合がある。
  • FRCP改正後もローカルルールが継続して適用されることに注意。
とりあえず、まずはきちんとlitigation holdをかけることが必要なのだろう。その際にはIT部門との協力が不可欠だろう。電子データが社内でどのように扱われているか、というところからして法務では分からないから。

最終的には何らかの形で提出するから、保存の後で、何らかの方法で情報を集めて、集めたものを見ずに出すわけにも行かないから(何を書いているか分かったものではないし。まあ、内部統制とかまで考えるとそもそも外部に出て問題になるような文書等を残すことそれ自体が問題なのだろうが:町山教授がそういう指摘をしている)、ある程度はレビューをすることにならざるを得ない。とはいえ、社内の法務部のリソースで対応しきれるかどうかは分からない。訴訟担当の弁護士が全部見るのもコスト面からして現実的ではない。ある程度までは誰かが篩にかける必要がある。Contracting Lawyerという一時雇いの弁護士がそれだけを担当することもあるようだ。

あと、日本企業として気になるのは、日本語の文書の取り扱い。データで出したはいいけど、文字化けして読めないとか、文字コードの問題とかどうするのか?この点についてはどうもいまいちの模様。まあ、アメリカ人が他所の国の人のことを考えて訴訟制度を動かしているわけがないから、当たり前だが。

テクノロジーの進歩はおくとして、極大雑把なまとめとしては、文書を捨てずに保管しておくことと、それから、恐ろしく手間がかかるので、訴訟懸念が生じた段階で、弁護士事務所も入れて慎重な対応をしないといけないということだろう。

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