今特に、いわゆる資産流動化関係の案件を抱えているわけではないし、前職時代も含めて、何故か今までのところ、その手の案件に縁がなかったが、いつそういう案件が来てもおかしくないし、本屋で目に留まったので買って読んでみた。
新書サイズの薄い本を数冊読んでみて思うのは、陳腐な言い方だが、「何を書かないか」をきちんと考えて、総花的にならないように書いていないと印象に残りにくいということ。そういう点で、信託法・信託業法についての細部に立ち入らずに、「信託」という制度の「仕組み」のみに焦点を当てて書いてあって、制度に馴染みがない人間にとっても読みやすい本になっていると思う。
また、当たり前なのかもしれないが、信託がある面では会社に類似した機能を果たすという点について、はっきりとした理解が得られていなかったが、この本を読んで、会社法上の制度とも対比させながら解説してあったので、なるほど、と思った。流動化の主体として使いうる以上、そうなって当然なのかもしれないが、縁遠かったので、そこまで中々思い至らなかったというのが正直なところ。
今後に望むのであれば、この本を読んだ後に、信託について理解を深めたい人向けの読書案内が欲しいというのがまず、ひとつ。それと、ピンポイントであげれば、最終章で出てきた図20は分かりにくいと思う。ケイマンでの慈善信託を使って、SPCが「誰の物でもない」形に仕上げる話だが、いくつかの段階に分けて図を描く形にした方が、分かりやすいと思われる。
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