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労働紛争解決とADR (日弁連ADRセンター双書) / 日本弁護士連合会ADRセンター (編集)


こちらのblogの今年における顕著な特徴の一つは、労務系の紛争が多いとされる外資系に転職したことに伴い、労務系の本の紹介が増えたことにあるだろう。そういう流れの中でのこの一冊。労働紛争においては労働審判をはじめとするいわゆるADRが多種多様な形で用意されているが、多すぎてそれぞれの立ち位置とかの違いがよくわからないというところだが、この本ではその点について、裁判官(労働審判について)、行政官(あっせんなどの行政によるADRについて)、弁護士(労働者側・使用者側双方の弁護士)がそれぞれの手続きについてポイントを解説している一冊。資料も含めてそれほど分量はないものの、企業の担当者を含め、この種の案件に関係する機会のある方々にとっては非常に有用な一冊なのではないかという気がした。
何よりも、巻末資料で、個別的労働紛争解決手段の一覧があり、14種類のメニューの中で、それぞれの特徴などについて比較されているのが、便利。行政ADRについては、調べてみても、こちらの能力不足もあって、わかりにくく感じていたのだが、この表や、文中の解説を通じてそれぞれの差異について理解しやすくなると思う。

いくつか特に印象に残った点をメモしてみる。

冒頭の裁判官の方による労働審判についての説明のうち、審判官も勤める裁判官の目に当事者がどう映るのかという観点からも興味深く感じた。中でも、労働審判においては、迅速性の観点から、受動的にはならず、予想される論点についての議論はあらかじめ最初の書面(申立書・答弁書)で記載すること、証拠類については主な点を書面上引用(書面だけで内容を完結させ、証拠は確認的に使う)すること、裁判官の端的な質問に端的に答えないと疑念を生む(当たり前かもしれないけど)等の指摘は特に印象に残った。

行政の方の解説で印象に残ったのは、あっせんの実情について。労働局におけるものや原則1回で終了というところやその利用実績については、知らなかったが、結構利用されている(ここ数年は年間100万件以上)とのこと。

弁護士さんの解説の中で、企業側の人間として、裁判を念頭においた日頃の留意点として挙げられている次のものは、直截な表現ではあるものの、内容面で驚くべきものは含まれていないかもしれないが、ともあれ、確かに留意しておくべきと感じた。以下本文より(ナンバリングがうまく再現できなかったので、そこは若干異なる)

  1. 経営に不正はないか
  2. 労基法等の労働法規等(労働法規以外、および確定判決を含む)の違反はないか
    1. 裁判所、労働委員会のメンタリティ
      1. 「国民は法令を遵守して当然」(特に裁判所)
      2. 「確定判決は守って当然」(特に裁判所)
      3. 労働者寄り(労働委員会)
    2. クリーンハンドの原則(自ら法を尊重する者だけが、法の尊重を要求することができる)
  3. 「前科」(労基法違反等での処分、不当労働行為事件等での敗訴)はないか
    1. 2i)-ii)と同様の問題がある
    2. 労働事件における和解の活用(特に「負け筋」のとき)
  4. 管理者側の体制がしっかりしているか
    1. 人事労務担当の部署と他の部署との意思疎通・意思統一(→弁護士への事前相談のためにも不可欠)
    2. 本社と事業所との間の意思疎通(→弁護士への事前相談のためにも不可欠)
    3. ノンポリおよびやりすぎの管理職はいずれも不適任
      例:退職勧奨でのおざなりな説得、行き過ぎた説得
  5. 使用者側の人事・労務すたっるはそろっているか(裁判前から)
    1. 日常の管理が裁判でものをいう(→マンパワーが必要)
    2. 雇用調整の案件、たとえば、整理解雇、就業規則不利益変更等の事件では、裁判資料が膨大になる可能性(→マンパワーが必要)
    3. 組合がらみだと、裁判と並行して、労働委員会での不当労働行為事件への対応、および団交等の組合対応も必要となりうる(→マンパワーが必要)
  6. 労働協約、就業規則に使用者側に都合の悪い規定はないか
    例:労働者側に過度に有利な手続規定等


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