スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

裁判と社会―司法の「常識」再考 (日本の“現代”) / Daniel H. Foote (原著), 溜箭 将之 (翻訳)


図書館で借りてみた(最近これが多くてすいません)。今の職場だと、アメリカ人の法律家にとって日本の法律がどう見えるか、ということは、押さえておくと良さそうな気がしたので読んでみた。読んでみて面白かった。

特定の社会における法を理解する上では、文化的な側面に限らず、制度面(法律だけではなく)や、自己利益の最大化についての考慮、も必要というところは、なるほど、という感じ。その3者の相互作用の実例がふんだんに示されているし。

以下、気になったところのメモ。
  • アメリカの悪名高いDiscoveryについて、個人的には、企業の法務という立場もあって、負担の面が目についてしまうが、情報の開示によって、真実を知ることにはなるので、「真実を知りたい」と考える原告(例えば事故の被害者の遺族とか)にとっては有用、というのは、僕自身は見落としがちだった(一方当事者への情報の偏在による不公平に対してはdepositionの導入が日本でも検討されているという話を某所で伺ったが、それと通じるところがあるのだろう)。
  • 懲罰的賠償について、抑止力という点から好意に評価されているのだが、個人的には、民事的な制裁にそういう効果を求めることについては違和感がある。もっとも、それがあることで、企業での内部での説得のしやすさが異なるという点については、同意するけど。
  • さすがに、日本の企業の法務部と米企業の法務部とを比較する際に、有資格者でない方々の貢献についても留意されている。このクラスの人がわかってなかったら目も当てられないが。
  • 日本においても、グローバル化というかアメリカ化により契約書が分厚くなっていくとの指摘は確かにそうだと思う。日本の企業法務において、USLLMへの留学経験者がその一翼を担っているという指摘については...なんともはや。
  • 最高裁の違憲判決が少ない理由と、内閣法制局の関係(違憲制のチェックを事前に厳格に行うから違憲にならない)についての記載は興味深い。
  • 裁判所による政策形成についての記載は、「司法消極主義」というマジックワードが頭にあることもあって、あまり意識したことはなかったが、交通事故や破産の局面におけるそれについての記載を見ると、なるほど、そういうことがあるのか、と気付かされる。となると、裁判所がどういうときに政策形成に積極的で、逆にどういうときに積極的でないのか、が気になるが、それについては、今後の検討課題ということらしいので、今度はそれを期待したいところ。2006年の本なので、そろそろそういうところについての成果が出てもおかしくないのかもしれないけれど。
  • 裁判所による政策形成のうち、特に交通事故におけるように、定型化による迅速公平な解決を目指すというアプローチについて、日本では個別事件ごとのばらつきを抑えて、公平さを保つことが重視する観点から取られた一方で、アメリカでは個人主義や、事件を個別的に扱うことを重視する観点などから、拒否反応が強かったというのはなんとなく頷けるところ。

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

dtk

Author:dtk

日本にある企業の法務部署で働いています。
*コメント等で私に言及するときは
"dtk"でお願いいたします。

旧ブログ

ITエンジニアのための契約入門 iPod touch/iPhone用にリリースされました。詳しくはiTunesAppStoreから入手可能

初めてコメントいただく際には「このblogについて」もご覧いただければ幸いです。

カビバラさん時計
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

twitter
    follow me on Twitter
    カウンター
    Amazon.co.jp

    ブログ内検索
    RSSフィード
    リンク
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。