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買い手の都合

なんだよそれ(>自分)。

さて、先日のこちらのエントリの続きではないけど、関連して思いついたことを手短にメモ。

所有権留保付きで相手に動産を売るといっても、日本法上では即時取得の問題とかがあるけど、即時取得みたいな制度がない国とかどうするのか、とか考えたところ、販売する物品について、買主側が権利について制約のない「きれいな」権利の状態で売ることを求めるような(ざっくりとした言い方ですいません)規定があったのを見たことあったを今更思い出した。そこで、googleで確かめてみた。大企業の購買約款を探せばいいはずなので、例えば「適当な企業名 procurement terms」でgoogleで検索してみたりしたわけです。

とりあえずIT系企業ということで探してみたところ、IntelやAppleはそもそも業者登録がないとそういう購買関係のデータベースにはたどり着けない仕組みになっていて断念したけど、気づいた範囲ではIBMとCiscoはそうなっていませんでした。


IBMの日本用のものを見ると売主側の表明保証の項目の中に「本注文書に基づく甲(dtk注:発注者)の権利の妨げとなる、乙に(dtk注:受注者)対するいかなる請求、担保物件、または訴訟も存在しないこと」とあり、日本用の英語のものをみると表明保証項目のところに「no claim, lien, or actions exists or is threatened against Supplier that would interfere with Buyer's wirh right under this PO」とあります。

一方、Ciscoの日本用のもの(日本語のみ)でも「SOWに特に指定がなく、5.2項の場合を除き、Ciscoは、すべての提供品の唯一かつ排他的な所有者であり、サプライヤーはここにすべてのグローバルな権利および所有権、関連するすべての知的所有権を含む提供品の利益をCiscoに取消不能の形で譲渡する。」とあり、米国用の英語のものを見ると対応する箇所に「Unless otherwise specified in a SOW and except as provided in Section 5.2, Cisco is the sole and exclusive owner of all Deliverables and Supplier hereby irrevocably assigns and transfers to Cisco all of its worldwide right and title to, and interest in, the Deliverables, including all associated Intellectual Property Rights.」
とあります。

IT系以外では、日本語のものはないですが、rio tintoのものとかが一例でしょう。US用のものを見ると、次のようなwarrantyの条項があります(改行位置を直し、太字で強調しました)。

5. WARRANTIES. Supplier represents, warrants and covenants that: (a) it has good title to the Goods and the right to transfer title to the Goods free and clear of any lien, hypothec, claim or other encumbrance of any kind; (b) the Goods will conform to any specifications and/or standards provided by Supplier and approved by Company and be provided in accordance with applicable laws, and will be free from defects in design, materials and workmanship, said warranty being valid for a period of eighteen (18) months from the date title passes to Company as set out in paragraph 2 hereof; (c) the Services (if any) will conform to any specifications and/or standards provided by Supplier and approved by Company, comply with applicable law and be performed expeditiously and consistent with any applicable standards of skill and care, said warranty being valid for a period of eighteen (18) months from the date the performance of the Services is completed; and (d) the Goods and Services (if any) and their use, manufacture, sale, lease, distribution, or other commercialization do not and will not infringe, misappropriate or violate the trademarks, service marks, copyrights, patents, patent rights, trade secrets and other intellectual property rights of a third party; and (e) it will comply with all applicable local, state, provincial and federal laws and regulations. There are no warranties which extend beyond those set forth above. The warranties provided herein are given expressly and are in place of all other express or implied warranties and all implied warranties for merchantability and fitness for a particular purpose are disclaimed.

となると、売主側が自らのサプライヤーさんとの関係で所有権留保がついたままで買主に売ろうととしても、即時取得が仮に適用されない状況下であっても、これらの規定により「負ける」可能性があるのではないでしょうか(もちろん別途合意すれば別ですが、そうする必然性が買主側にあるとはなかなか思いにくいです)。

じゃあどうするのか、というと、先のエントリとの関係では既に指摘があったように、所有権留保を外すのも一つの手ですが、敢えてリスクを取るというのも一つのありようかもしれません。そもそも、納品までの間の時間と場所の余裕があるなら、留保が外れるまで自社倉庫においておくのも一つの手かもしれません。売主とサプライヤーとの関係では代金さえ払えばいいわけですし、買主側の受発注とサプライヤーからの調達のタイミングを考えて、商社機能を果たす上で敢えて在庫を持って置くというのは、こういう話がなくても、選択肢としてありうるのではないかとも思うわけです。



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Re: 日本法以外の国の法律が準拠法の場合

いやはや。お呼び立てしてすいませんです。
即時取得みたいな制度がなかったら、というのはこちらの頭の体操のようなものなので、そういう国があるのかないのかわかっているわけではないので、その辺はそういう程度とご理解くださいまし。

力関係にもよるのでしょうが、転売を前提にするのであれば、変に留保がついているとややこしくなるだけでしょうから、可能な範囲でその種のものは外す方法をご検討いただくのがよいのではないかと、脇から見ていて思う次第です。

今後共宜しくお願いいたします。m(__)m

日本法以外の国の法律が準拠法の場合

こんばんは。

ご記載の通り、即時取得が無い国の法律が準拠法となる場合も考えないといけませんね。

いっそのこと、当社とサプライヤーとの間で、「所有権は、代金決済までサプライヤーに留保される。但しその間、当社が顧客に製品を転売した場合は、サプライヤーは当社の顧客に所有権を主張できない。」というような、即時取得もどきみたいな条項を設けるという方法もあるかなと、ふと思いました。ただ、サプライヤーが上記のような条項に同意するかは未知数ですね・・。

ご指摘の通り、所有権留保状態が解消するまで、自社で在庫として保有しておく、という選択肢もあるかとも思いますが、サプライヤーと合意した製品の保証期間が切れるリスク、在庫という名のお金が寝てしまう事態を考えますと、なかなかこの方法を選択するのは厳しいですね。

極力、所有権留保条項は削除する方向で交渉したいと思います。
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