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三菱樹脂事件の判例を読んでみた

憲法でも労働法でも出てくる有名判例ということもあり、かつ、こちらのサイトで一審から一式、判決文が載っていた(地裁での本案訴訟の前の仮処分は出ていなかったが、前にいただいたD1-Law nanoに出ていたのでそちらも目を通した)ので、一通り読んでみた。事案については、面倒なので(おいおい)とりあえずwikipediaの記載を参照。学生運動参加歴を隠して内定をもらって入社したところ、試用期間中にそれがバレて解雇と言われたので、不当解雇で争ったというのがざっくりとした事案の紹介になるだろう。

とりあえず13年掛かって和解して元の会社に復職したというところにまず驚く。そのうえ、原告の方が、かの会社でそれなりのポジション(その後関連会社の社長にまで)というところにも驚いてしまった。ちなみに、具体的な日付を追いかけてみると、次のとおり。仮処分が出るまで1年、本案第1審までが4年、高裁判決までが5年、最高裁まで10年半、和解まで13年、ということになっている。まあ、これだけの時間、特に第1審まで4年がかかっていると、ご本人が他の道を選ぶという選択肢は、事実上なかったのかもしれない。

入社:S38.3.28(ちなみに内定通知はS37.10.13)
雇用契約を取り消す旨の通知:S38.6.25
仮処分決定@東京地裁:S39.4.27
本案訴訟第一審判決@東京地裁:S42.7.17
控訴審判決@東京高裁:S43.6.12
最高裁判決:S48.12.12
和解による解決:S51.3.11

次に気になったのが、憲法のテキストなどでこの判決が取り上げられる原因となっている、憲法の私人間効力の話は第一審まででは出てこず(少なくとも判決文上では見受けられない)、控訴審になって出てきたと思われる点。しかも、書きぶりからすると第一審で勝訴した原告側が持ちだしたように見受けられる。第1審で勝訴しているのに、ことさらに戦線を広げるようなことをする必要があったのかどうか、この論点を持ちだしたがゆえに、余計に審理に時間がかかった(特に最高裁において)のではないかという点が気になった。もちろん、その辺りについてはその時点での諸々の状況に基づく判断だろうから、後から軽々に何か言うべきではないということは理解しているつもりではあるが…。特に原告ご本人との間でこの点について、どこまで説明がなされたのか、なされなかったのか、という辺りが気になった。

何らかの理由で、訴訟の進行の引き伸ばしを図りたい時に、そういう戦術(ある種の兵糧攻めというところか)を取るのは、倫理的にほめられたものではないとしても、一応戦術の選択肢の一つにはなるだろうと思う。ただ、その逆の状況の場合には、リスクが高い戦術になると感じずにはいられない。それゆえに直ちにとりえないということではないとしても、企業側の担当者として訴訟戦略、戦術を考えるうえで、この点については心しておかないといけないと改めて思った。

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