スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

CISGについてのちょっとしたメモ

たまたま、なんだけど、某氏(こちらの方)と、別の某弁護士(初職での同僚でその後弁護士になられた)さんと別々にメールで話をする中で、CISGについて話題に上がって、話の内容とはあまり関係ないが、ふと疑問に思ったことがあったので、メモしてみる。

まずは素朴なギモンから。日本語の訳文はあるけど、それではなく、公式言語のものを見ないといけないと理解しているけど、それの条文上の根拠は?

外務省のサイトのこの条約のページにある、説明書には、「この条約の実施のためには、新たな立法措置及び予算措置を必要としない」とあるけど、そもそも、この「説明書」がどういう位置づけなのか、不勉強なものでよくわからない。そのうえ、「 」の記載だけ見ると、確かに、公式言語で作られたものがそのまま適用され、日本側で新たに立法などはしなくてもよいとも読めるが、新たな立法をしても良いようにも読めるような気がする。解釈ではそう読まないということなのかもしれない。まあ、そもそも発効して3年とか何もしないまま経っているから、今更立法とかはどのみちしないのだろうけど。

それと、英語版のテキストを見ると、末尾のところに次のように書いてある。強調はこちらでつけた。

DONE at Vienna, this day of eleventh day of April, one thousand nine hundred and eighty, in a single original, of which the Arabic, Chinese, English, French, Russian and Spanish texts are equally authentic.


6ヶ国語のものがそれぞれ同じ効力とある...。相互に食い違っていたらどうなるのだろう?例えば、中国の企業と日本の企業がCISGを含むどこかの法域の法(例えばシンガポール法)で契約をしており、CISGの文言が適用になる項目で紛争になったときに、こちらが英語版、向こうが中国語版の条文を見ていて、内容が食い違っていたらどうなるのだろう?そういう事態が具体的に起こりうるのかどうかは、正直分からないが、ちょっと気になる。
Pace LawのCISGのデータベースの各国語の正文へのリンクを見ると、アラビア語のところについては、"Translation errors contained in the above text"とあるので、正文に問題有りということなのだろう。 )

"cisg language discrepancy"とグーグルに入れてみるとANNOTATED TEXT OF CISGにその点の説明が出ているのを見つけた。この程度のことは当然想定の範囲内ということらしい(当たり前のような気がするが)。

一つの手立てが、条約法に関するウィーン条約(というのがあると今知った)を見るというもので、ここの33条に次のような記載がある(和訳からの引用ですいません)。

第三十三条 二以上の言語により確定がされた条約の解釈

1 条約について二以上の言語により確定がされた場合には、それぞれの言語による条約文がひとしく権威を有する。ただし、相違があるときは特定の言語による条約文によることを条約が定めている場合又はこのことについて当事国が合意する場合は、この限りでない。

2 条約文の確定に係る言語以外の言語による条約文は、条約に定めがある場合又は当事国が合意する場合にのみ、正文とみなされる。

3 条約の用語は、各正文において同一の意味を有すると推定される。

4 1の規定に従い特定の言語による条約文による場合を除くほか、各正文の比較により、第三十一条及び前条の規定を適用しても解消されない意味の相違があることが明らかとなつた場合には、条約の趣旨及び目的を考慮した上、すべての正文について最大の調和が図られる意味を採用する。


…これがどこまで助けになるのかどうか、僕にはよくわからない。

もう一つの手がかりが、制定過程でどの言語を用いたか、というところで、英語がメインで交渉をした以上、英語の解釈が優先されるという指摘。

さらに、トラブルを避ける意味では、CISGの言語についての指定もしておく、というのがある意味納得できるところ。ANNOTATED TEXTでは次のような文言例がある。英文契約の場合、このように書いておくと、CISGについても、英語版に基づくことを合意した、ということになるのだろう。
"The applicable text of the Convention shall be the official United Nations text in the language in which this contract is written."

とはいうものの、ご近所の某社会主義国(自称?)のように、かの国の言葉で書かれたものと英語版とを作っても、役所への手続きの関係において、かの国の言葉で書かれた方が優先する効力を持たせることを要求されるようなケースでは、そもそも英語優先と書けないので、万能ではないだろう。また、仮にそう書いてあったとしても、かの国の裁判所に持ち込まれたら、きっとかの国の言葉で書かれた方しか読まないのではないか。
(仲裁合意でそれを防ぐといっても、仲裁合意自体を争われたり、仲裁判断自体を争われたりするリスクは残るはず…)

そこまで考えると、英語版以外のものが議論の俎上に上がる可能性がある場合は、その言語のものの訳の精度とかまで確かめないとリスクが残る(大きなリスクではないと思いたいけど、正直分からない)ということになるのだろうか?

…気にしすぎなのかもしれないけど、気になったので、一応メモしておく。

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

dtk

Author:dtk

日本にある企業の法務部署で働いています。
*コメント等で私に言及するときは
"dtk"でお願いいたします。

旧ブログ

ITエンジニアのための契約入門 iPod touch/iPhone用にリリースされました。詳しくはiTunesAppStoreから入手可能

初めてコメントいただく際には「このblogについて」もご覧いただければ幸いです。

カビバラさん時計
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

twitter
    follow me on Twitter
    カウンター
    Amazon.co.jp

    ブログ内検索
    RSSフィード
    リンク
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。