スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

比較の仕方の問題??

いつも愛読している@takujihashizumeさんのblogのこのエントリを読んで、細かいところだけど、引っかかった点についてのメモ。

なお、あらかじめお断りしておくと、以下は別に当該エントリについて避難するようなものではない。エントリ自体、僕も興味深く拝読したものであり、@takujihashizumeさんをはじめとして、以下を読んで気分を害された方がもしおられれば、お詫びする次第です。

気になったのは次の点。アマゾンとファーストサーバーの約款の不可抗力条項の書きぶりの比較のところ。Amazon Web Servce(AWS)の利用規約における記載とファーストサーバさんの利用規約におけるそれとを比較して「日本の契約書での不可抗力条項だと、この程度の言及しかしていないものは、まだまだザラにありますね。」という結論だと思うのだが、ちょっと比較としてどうだろうか、と思った次第。

アマゾンのは

13.2 不可抗力 アマゾンおよびアマゾンの関連会社は、本契約に基づく義務の履行遅延または履行不能につき、かかる遅延または不履行がアマゾンの合理的な支配の及ばない原因によるものである場合には、責任を負わない。かかる原因には、天災、労働紛争その他の産業騒乱、システム全体にわたる電力、電気通信その他の公共サービスの故障、地震、嵐その他の自然現象、封鎖、通商停止、暴動、政府の行為もしくは命令、テロ行為、および戦争が含まれる。


ファーストサーバーのは

第3条(月間停止時間の例外)
(6)天災地変等不可抗力により本サービスを提供できないことに基づく場合



確かに書きぶりだけ見ればアマゾンのほうが念入りなのは間違いないが…それだけをもって、ファーストサーバーの方というか日本の方はいまいちだ、というような結論になっていいのだろうか?というのが疑問というか、違和感。

アマゾンのほうは指摘があったとおり、契約の準拠法はアメリカのワシントン州法で、裁判管轄も同州。ということは、アメリカ法に基づいてアメリカの裁判所で裁かれるわけだ。ファーストサーバーの方は日本法で大阪地裁の専属合意管轄のようだ。ここの違いを無視して比較はできないのではないかと思う。

というのも、勿体をつけるまでもないのだが、英米法上は、そもそも不可抗力、としか書いていないと、内容が不明瞭で確定できないから契約は無効であると判断され、それゆえに数々の事項を列挙しないといけないうえに、さらに、例示列挙についても、例示を含む規定の適用対象は例示された種類のものに限定されるというejusdem generisの原則というのがあるから(以上、積読になっている「国際商取引契約」/中村秀雄著 pp424-425を参照)、列挙の仕方に気を使う必要があるわけだ。しかもいわゆるparol evidence ruleやそれを踏まえて完全合意条項とかが用意されているので、契約書上記載のない事項を持ち出すことについては、制限がかかるわけだ。つまり、ファーストサーバーの約款みたいな書き方では条項自体が無効とされるリスクがあるし、不可抗力事由を例示列挙する場合も、網羅的になるように記載しておかないといけないということになる。

一方で、日本法で上記のような解釈が一般的か、というとおそらく異なり、個々の文言の解釈の仕方についてそこまで細かいことは言われないように思う(僕が知らないだけかもしれないが。そういうご意見の方はその旨ご教示いただけると助かります)。
加えてparol evidence ruleとかも一般的ではないし、それを受けて完全合意条項も入っていないことが多いから、文言について、訴訟になった時点で別の資料を持ち出して内容についていろいろ議論をすることも不可能ではない。よって、そこまで書かないといけないということはないわけで、むしろ、契約書が長すぎると手間だし、契約相手が長さにうんざりして契約しないとか、別の問題が出てくるので、必須でない事項はあえて記載しないという選択肢も一定の合理性があるのではないかと思う。

そんなこんなを考えると、書きぶりだけを比較するのは、ちょっとかわいそうではないのか、という気がするのである。乱暴な比較をすると、日本の軽自動車とBMWを比較するみたいに思われたのだった(特に利用者の数とか考えると余計に)。

コメントの投稿

非公開コメント

Re: ご指摘ありがとうございます

@takujihashizumeさん、いつも恐縮です。

最後の点については、確かにそうでしたね。ただ、長くなってしまったので、コメントはちょっとどうかな、と思ったのと、何よりこちらのネタがなくって、ついついこちらでエントリにしてしまいました。トラックバックすればよかったのかもしれません。ご迷惑をおかけしてすいません。

不可抗力の事由の有効性については、こちらの調べが不十分かもしれません。もし、判例とかみかけたらご教示いただけると助かります。

今後ともよろしくお願いします。

ご指摘ありがとうございます

ファーストサーバの場合は、「月間停止時間のカウントから例外的に除外する」ための不可抗力であって、契約債務全体の不可抗力の免責にすらなってない、という問題も含めて指摘しているつもりです。伝わっていないようですみません。

日本の場合の不可抗力事由の有効性について、争われた判例は遭ったかと思いますが、調べてみます。とりあえず思いつくところでは原発事故の原賠法の「異常に巨大な天災地変」については、議論があったところかと。

大阪地裁管轄っていうのは見落としてましたので修正します。ご指摘ありがとうございます。

気分は害しませんが、せっかくブログのコメント欄を開けているので、コメント欄にお書きいただけるとこちらとしては助かります。言論の自由・批評の自由はあるのでブログに書くことをやめてくれといえるものではないのですが、暫く気付かないことも多いですし。議論も文字通り発散してしまいます故。
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

dtk

Author:dtk

日本にある企業の法務部署で働いています。
*コメント等で私に言及するときは
"dtk"でお願いいたします。

旧ブログ

ITエンジニアのための契約入門 iPod touch/iPhone用にリリースされました。詳しくはiTunesAppStoreから入手可能

初めてコメントいただく際には「このblogについて」もご覧いただければ幸いです。

カビバラさん時計
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

twitter
    follow me on Twitter
    カウンター
    Amazon.co.jp

    ブログ内検索
    RSSフィード
    リンク
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。