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整理解雇の判例をもうひとつ

いつも見ている裁判所判例watchで見つけた判例を。月にひとつくらいは判例を読んで感想でも書いてみようということで。先月、その前に引き続き整理解雇に関するもの。

地位確認等請求事件(通称 テクノプロ・エンジニアリング整理解雇)
(リンクは裁判所のデータベース上のpdfに張ってある)

事案としては、ざっくり言うと派遣業者において、リーマンショックとかを受けたり、親会社の問題とかで業績が低迷する中で、行われた整理解雇の有効性等が争われたもの。結論としては整理解雇については、無効という判断になった(*1)。
判断の枠組みとしては、整理解雇ということで、原告側は四要件説に基づく主張をしたけど、四要素説にたって、その枠組みに沿って検討をしており、4つのうち、最後のひとつを除き不十分として、トータルでは、整理解雇を認めるに足りないとしている。
  1. 人員削減の必要性:被告会社グループの中核企業の労働派遣事業の廃止などにより被告会社の信用力に影響が生じたとしても、被告会社はここ数年、ほぼ一貫して黒字だったこと、整理解雇にあたって特に削減目標を定めていたのか不明瞭なこと、原告の解雇予告通知日から約10ヵ月後には求人の実施や退職者の復職などを行っていること、財務状況についての資料について原告に求めにも拘らず提出しないこと、および、グループ企業の同じ会社に対して債権放棄をしつつ、多額の指導料を相殺することなく支払っていること(*2)、から、必要性については消極的という判断をしている。
  2. 解雇回避努力:人件費などの削減、新卒採用の抑制、希望退職者の実施(技術社員は除く)、技術社員に対する退職観照の結果の退職の実施、グループ内転籍、一時帰休など回避のために一定の措置をしたことは認めつつも、そもそも整理解雇時に削減目標を定めたかどうかも不明、希望退職者の募集も、原告を含む技術社員に対しては未実施のまま、本件整理解雇に至ったということで、回避努力は不十分と判断されている。
  3. 人選の合理性:解雇前の就労状況を一切顧慮せず、特定時点で派遣されておらず待機状態にあるものを対象としていることから、合理性を欠くとされている。
  4. 手続きの正当性:この部分については、2度の団体交渉、説明会、電子メールでの質疑応答を行ったことから、明らかに相当性を欠くとはいえないとしている。

事実関係を見る限り、まあ、ここまで乱暴なら解雇無効になるよな、と思わざるを得ない。そういう意味で、先例的な価値がどこまであるのかは疑問が残った。ちょっと気の利いた会社ならこんな無茶はしないだろうから。

語弊のある言い方を許してもらうと、個人的に興味深いと思ったのは、結論としては、被告会社側で裏付けが提示できなかったこともあって採用されなかったものの、被告会社側から出た主張で、技術社員に対して希望退職の募集をかけると、人材の流出を招いて、解雇回避措置として機能しないというもの。具体的にその主張が何を意図しているのかは判決文からは必ずしも明らかではないけど、仮に、技術社員については、他社からの引き合いがありうるので、希望退職の募集をかけると、優秀な層から、次を見つけて希望退職していき、その結果として、残る技術社員の人数および質という面が低下し、事業が立ち行かなくなるということになり、倒産を回避するための整理解雇の一貫として行うこれらの措置が、結果的に倒産の呼び水になりかねない、というものであったとするならば、その懸念自体はありえない話ではないのではないかという気がする。

もちろん、希望退職について、希望すればすべて通るとは限らない、希望して、会社が承認したもののみが退職可能であるという措置を取ることで歯止めが効くかもしれないけど、希望退職ではない、通常の退職で辞めていくケースも出る可能性もあるだろうから(そちらについてはとめようがないだろう)、効いたとしても限定的かもしれない。

こういう話は、もちろん関わらずにすむ方が間違いなく良いのだが、実際関わることになったら、相当悩むんだろうな、と思わずにはおれない。



*1:なお、支援団体のサイトでの記載によれば、本件控訴されたものの、高裁でも労働者側勝訴判決だった模様。判決文は見ていないので詳細は不明。
*2:上記の支援団体のサイトでの記載によれば、これはグッドウィルグループ内での話とのことで、僕自身は確認をしたわけではないが、仮にそうだとすれば、さもありなん、というところであろうか。

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