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整理解雇の判例:ナショナル・ウエストミンスター(通称ナット・ウエスト)銀行(3次仮処分)事件

先日整理解雇の判例ということで東洋酵素事件の判例を読んでみた感想をエントリにしたが、その続き。

前にいただいたD1-Law nano 判例20000にあったので、そこから落としてきた。

(エントリの本題と関係ないけど、原告の本名とかそのままで出ているのですが、OKなのでしょうか?ちょっと気がかり。)
労働法の本とか読んでも結局四要件説なのか、四要素説なのか、よくわからないので、こっちも読んでみようと思い至ったわけ。両者の間に実務的に大きな差はない、みたいな結論になっていることもあるけど、なんとなく歯切れが悪いような気がする。

ちなみに、労働法判例百選の最新の8版では本件は取り上げられていないが、会社にある7版を見ると掲載されていた。東洋酵素事件が取り上げられて、その中で本件についての言及があるからOKということなのだろうか。
(追記:会社の自席においてあった8版を確認したら、間違いだった。何かと勘違いした模様。すみません。)

で、本題だけど、この事件自体は何回も争われたもので、本決定は第三次仮処分とのこと。

この事件では東洋酵素事件がリーディングケースとなった整理解雇の四要件について、次のように判示したというところがポイント。
「いわゆる整理解雇の四要件は、整理解雇の範疇に属すると考えられる解雇について解雇権の濫用に当たるかどうかを判断する際の考慮要素を類型化したものであって、各々の要件が存在しなければ法律効果が発生しないという意味での法律要件ではなく、解雇権濫用の判断は、本来事案ごとの個別具体的な事情を総合考慮して行うほかない」

そのうえで、個別具体的な事情に照らし、結論としては本件解雇について有効と判断している。具体的には、次の3つについて検討している。
  1. 「雇用契約解消の合理性の有無」:
    • 所属した事業からの撤退に伴い、ポジションが消滅したが、現状の賃金水準を維持できるポジションにつくには、能力面で無理がある。今後についても現状の賃 金水準を維持したままで、つける(能力面もふくめ)ポジションが出る見込みはない。よって、現状の賃金水準を維持したままで雇用を継続するのは現実的には 不可能。
  2. 「雇用契約解消後の債権者の生活維持等に対する配慮について」:
    • 上乗せした退職金(退職前年収の1.8倍相当)の支払および再就職先が見つかるまでの間の就職斡旋サービスの費用を会社が負担
  3. 「本件解雇に至る手続について」:
    • 雇用継続の要望を受け、会社側は退職予定のない契約社員をクビにしてまで、ポジションを用意した。ただし、当該ポジションは元のポジションと職種も異なり、年収はダウンすることになり、このポジションにつくことで合意は成り立たなかった。
    • 組合との間に3ヶ月間に団交7回して、解雇にいたる経緯の説明は尽くした。

個人的には、法務という職種からして、会社と雇用について争うのは次の雇用機会を探すうえでプラスに作用するとは思えないから、自分が会社に対して解雇無効を争うことになるとは思いにくい。そうなったら、むしろ条件闘争をするだろう。自分がそういう立場であることもあってか、法務という立場で、解雇をする側に回る可能性があるからか、その辺のバイアスがあるからなのかもしれないが、四要件を厳格に解して、どれかひとつでもアウトというと解雇ができないというのは、あまりにも硬直的過ぎるように思う。

特に、戦略的な組織改変とかを行っていくことが、企業の生存戦略のうえで重要になると思うので、事業部門が順調であっても、手をつけられるよう(むしろ順調なうちにこそ、手遅れにならないよう、余力があるうちに手をつけるべき、という議論だってありうるのだから)、整理解雇の必要性については、柔軟になっても良いのではないかと思う。その一方で、人選とか手順の公正さはある程度厳格に見て、恣意的な解雇については、キビシメに見るとともに、解雇されたかたがたの保護という面での手当ては別途考えるべきではないかと思う。

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