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暴力団排除条例ガイドブック (BUSINESS LAW JOURNAL BOOKS) /大井哲也 (著), 黒川浩一 (著), 株式会社エス・ピー・ネットワーク総合研究室 (著)


年始からこの種の本の感想を書く、というのも、いかがなものか、という気もするが、大晦日に買って読み始めたのが読み終わらず、漸く読み終わったのでメモ。既にtacさんのところとか、企業法務戦士の雑感さんのところで、紹介済で、これ以上何をというところもあるのだが…。まともな紹介はそちらにお任せして、以下、感想を。既に出ている商事法務の2冊と比較しても、差別化も上手く図られており、良い本だと思う。より企業法務の実務に近いと思うので、企業の法務部で、この分野について何か本を一冊というのであれば、まずはこの本、ではないかと思う。
個人的に有用だと思ったのは、次の諸点。
  • 反社チェックのあり方:具体的には次の諸点で、項目と方法については、与信管理の延長線上にある面も多々あるのだけど、項目について、変な見落としを防ぐという意味では、こういう形でリスト化されたものがあると安心。また、どこまでやるか、というスタンスを考えるうえで、層別管理という議論は重要なものの、実例紹介があるのは、議論のスタートラインを築くうえで有用なのではないか。
    • チェックすべき項目
    • その方法
    • 層別管理についての紹介、など。
  • 契約関係の切り方の実務についての解説
    • 特に、反社勢力側が何かやって来たときに、法的な対応として取りうるものの一覧があるのは、やはり便利。
  • 海外反社対応。この辺は、アメリカの議論がまだよく分からないものの、現状どこまで、というところの一定の情報があるのは便利。
  • 巻末の都道府県の各条例のまとめ。都条例がクローズアップされるのはある意味で当然だけど、それ以外の条例についても、時として対応を考える必要があるはずで、そうなったときに、いきなり条文から入るのも手間だし、複数の都道府県にまたがる比較もしやすくなるので、助かるのではないか。
  • 版組が読みやすい。正直、あまり前を向く業務についての話ではないので、版組からして読みづらいのは、シンドイという気がする。
逆に、気になった、または、ここは惜しいと思ったのは次の諸点。
  • ネット上のリソースへの言及については、最近はgoogleで検索すればわかるのだが、それでもURLは省略しないでほしかった(脚注にでも落としておいてほしかった)。
  • 雇用関係との話(6章)で、都条例21条との関係が触れられていなかったのが気になった。同条では、暴力団から離脱する意思を有する者又は離脱した者に対し、その離脱を援助するため、雇用機会を提供し、就労をあっせんし、又は住居若しくは資金の提供を行う行為につき、当該行為を行い、若しくは行おうとする者などを妨害してはいけないという趣旨の規定も含まれている。それは、暴力団から足抜けしようとする人へのインセンティブの提供をしているわけで、そうなると、自社の従業員が反社だったら、解雇する措置とは整合しないのではないか、という気がする。その辺の考え方の整理の仕方について、何か記載があるのではないかと思っていたのだが、特段何も書いていなかったのが、ちょっと残念に思われた。
  • 僕の気にしすぎなのかもしれないが、特に8章については(弁護士さんの書いた部分にはその辺の配慮が感じられたが…)、なんとなく「上から目線」みたいなものが感じられて、読んでいて気分が宜しくなかった。都条例の立案担当者が書いているということを意識しすぎなのかもしれない。ただ、従前は権力側で一手に担っていたこの種の対応につき、社会情勢の変化もあって権力側だけでは対応しきれなくなってきたから、それを民間サイドでも担ってもらおうというのが、この条例の発想にあると考えるのだけど、その理解を前提にすると、この種の話は、上から押し付ける話ではないのではないかという気がしてならない。官だけでは手が回り切らないので対応につき、民間サイドも手伝って欲しいというスタンスであるべきなのではないか、と思うのである。その辺の、ある意味での「手のひらの返し方」について、無自覚に見えるから、余計に違和感を感じたように思う。文中に指摘があったように、民間サイドでこの種の問題に対応するにあたっては、一定のリスクは不可避なわけで(官側でする分については、権力が背後にある分だけリスクを減らせるはずなのに、である)、それも込みで民間サイドにやってもらおうという話である以上、そういうスタンスを取るべきなのではないかと思うのである。この辺は裁判員裁判でも同じかもしれない。その辺をわきまえていないと、自分たちのリスクヘッジだけに長けているという印象を与えかねないと思うのである。

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ありがとうございます。

大井先生、お返事が遅くなってすいません。ご覧いただき恐縮です。
こうやって著者の方のコメントを頂けるとは思わなかったので、びっくりしました。
8章については、過剰反応は不要というコメントは有り難いのですが、何が過剰かというところがこれまた悩ましく、実務でも混乱があるように見受けられるので、混乱を収束させる方向に向かうための指針となるものが欲しいと思います。いずれにしても、アメリカでの事態の推移も含め、適当なタイミングで、議論も踏まえて、改訂していただければ助かります。

それでは。

書評ありがとうございます。

dtkさん、はじめまして。著者の1人の大井です。突然の登場で申し訳ありません。

大晦日そして、お正月の貴重なお休みのお時間を頂戴し、しかも、詳細な書評まで書いて頂きまして、感謝致します。個人的には、感動すら覚えております。

実務サイドの方々が、「さて、どうしよう?」と思案されるときに、まっさきに手元において開いてもらえる姿を想像しつつ、レクシスネクシスさん、黒川さん、エスピーネットワークさんで悩みながら完成した1冊ですので、まさに、その点を触って頂いてうれしく思います。

さて、ご指摘の雇用関係については、企業防衛の目線からは、どうしても解雇にスポットが当るのだろうと思っています。そして、都条例の関係でも、あくまで、「威迫し、・・・妨害してはならない。」という構成要件ですので、企業自らが行う解雇権の行使の障害にはならないと整理しております。

また、ご指摘の第8章の条例解説については、実のところ、まさに黒川さんとギリギリまで、大いに議論させて頂いたパートでございますが、「それは、結局は、企業の私的自治、ポリシーの問題ですよね?過剰反応は不要です。」という立法担当者の重いメッセージが込められていると理解しています。

とは言うものの。。。想定される読者であろうリーガルの実務担当者様の目線からは、会社内で何らかのアクションを起こす際には、一定の理屈に基づいて社内を説得しなければならない、そして、それはどこから(どの部門から)叩かれても耐えうるようなものでなくてはならないわけで、それをお手伝いするという目的からは、もう一歩、踏み込んで、段々に積み上げた解説をした方がよかったかもしれません。

この点は、編著者内でも、引き続き、議論します。笑
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