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BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 12月号



読者交流会も楽しみなBLJについて、例によって感想をば。

特集はシステム開発契約。以前少しみたことがあるけど、最近そういうのまったく見てないよな、でも、だからこそ読まないと思いつつ読んでみた。様々な切り口からの解説、特に企業側(さらには失敗事例を抱える企業の方)からのコメントと、大規模開発と、中小企業での開発とを分けて記事にしている点が秀逸。全体としての感想としてメモっておくと
  • ユーザーサイドからすると、開発自体が本業ではないので、どうしても、理解不足と言うか、開発への関与について腰が引けているところがあるのかもしれないけど、それがトラブルの一つの原因になっているんだろうなということを改めて思う。それは必ずしもユーザー側だけの問題ではないのだけど。共通言語の不足による相互理解の不足が顕著なのかもしれない。
  • 開発契約もさることながら、開発がスタートしてからの履行過程をいかに文書化しておくか、というのが、トラブル防止の観点から、他の契約類型と比べても特に重要なのかもしれない。
  • 開発過程で素人の管理部門が関与する余地としては、素人としてそれほどピント外れではない質問をすることもあるのかもしれない、という気がした。素人の質問に答えられないくらいだと、仕様などについて煮詰めるべき点が煮詰まっていないという可能性があるのではないか。契約書に照らしてどうか、という点の確認をしていくことに加えて、そういう面でも法務の関与する余地は十分あるのかもしれない…と思うのだが、どうなんだろう(この辺はkataxさんに意見を聞いてみたいところ)。
  • 社内でのシステム部門と法務との相互理解のためには、法務からシステムに出向と言うか社内交流というのは、ありなのかもしれない。まあ、それはシステムに限った話ではないけど。逆に各部署から法務への出向というのも、本当はありなのかもしれないと思う。法務の専門家になるというよりも、部署内の法務センスを向上させるために。ただ、費用対効果の面でどこまで正当化できるかどうか、自信がないけど。


以下、特集以外で印象に残ったものについて、順不同で感想を。

オリンパスの例の高裁判決に関する特集は、直近の事件の陰で印象が薄れていたこともあり、良いタイミングで記事にしてくれたのではないだろうか。労務とコンプライアンスの接点の部分で、実務的には重要な内容を含んでいると思うから。ただ、こうして読んでみると、そもそも、この事件自体、やはり、会社側の対応も杜撰(特に通報者が誰なのか漏れてしまったところ)だし、訴訟についても、地裁の事実認定に問題があったのではないか、ということを改めて実感する。電気機器メーカーの方々のインタビューも、ここまで気を使っている事例があると事が分かる意味で重要だと思う。

M&Aのロードマップは毎回非常に興味深く、なるほどということが多かった。今回で一区切りということだが、連載の書籍化を希望。今後は、ポストクロージングの話についても連載を希望。

国際販売店契約についての長谷川先生の記事は、各国自動車リコール制度の概要が便利そう。今の勤務先では自動車向けの部品も作っているので、この辺は押さえておくと間違いなく便利。併せて、コニカミノルタの方の海外販売店・代理店契約に関するインタビューも、契約更新のプロセスとかについてのコメントが興味深い。

外資系法務部長様の記事は、コンプライアンスの社内の位置づけについて、考えさせられることが多かった。総論は法務だけでも対応できるけど各論は無理というのは、当たり前かもしれないが、重要だと思う。放っておくと誰も何もしない可能性もあるし、法律面での要請を満たすという観点からは、法務が旗をふるのはあながち間違いでもないだろうけど(常に正解とは思わないけど)、全部はできっこないから、社内の他の部署をどう巻き込んでいくかという視点が必要なんだろう。

海外法制度についての連載も、今回は、自分が滞在したことのあるシンガポールなので、いつもよりも興味を持って読んだ。シンガポールで海外部門のヘッドクオーターという位置づけの中での法務で、シンガポール国内の営業についての話は直接はあまり関与していなかったこともあり、知らないことばかりだった。一番興味深かったのは雇用法の適用範囲。月給が一定以下の肉体労働者などには適用外で、そちらについては個別交渉というところと、外国人の就労許可が3段階で、管理職・上級職・専門職向けのemployment pass、技術・技能職の中間所得層向けのS passとメイド・工事現場の肉体労働者向けwork permitの3つに別れる(pass/permitという用語の使い分けも…)というあたりに、シンガポールの階級社会の一端が伺い知れる(まあ、滞在していればどうせ分かるけど)。



最後に例によって本家から目次の引用

[特集] システム開発契約―成功と失敗の分かれ目 
大規模システム開発の契約交渉とプロジェクト運営のポイント
―紛争リスクを最小化するために
松島淳也 弁護士
中小企業における開発契約発注時の留意点
北岡弘章 弁護士・弁理士
契約締結後にとるべきトラブル回避行動
平野高志 弁護士・弁理士
ベンダからユーザへ要望・アドバイス
[CASE1]ユーザ社内での価値観共有と明確な優先順位付けを
国内大手

[CASE2]請負契約の規定が問題の根本
ITコンサルティング

[CASE3]エンジニア出身の法務から見た 失敗の原因
中堅

[CASE4]ユーザの無理解に苦労
外資系(業務ソフト)

[CASE5]実態に合わない 契約交渉の愚
中小ベンダ(ウェブ)

ユーザはどう関わるべきか
[CASE1]裁判を経験したから分かる システム開発契約の「やってはいけない」
野々垣典男 JTB情報システム 常務取締役 経営企画部長

[CASE2]ベンダとのパートナーシップ構築に役立つ 権限集約と契約ひな形整備
木内里美 大成ロテック 常勤監査役

[CASE3]契約条項の限界を理解する
銀行

オープンソース・ソフトウェアに関する法的リスク
―法務部門によるマネジメント策
上山 浩 弁護士・弁理士


INTERVIEW
新たな組織・チーム編成で企業統合と事業拡大を下支え
二宮圭二 LIXIL 法務部 法務室 室長(兼 住生活グループ 法務総務部 グループリーダー)

特別企画
オリンパス配転命令事件で見えた 内部通報の処理・対応をめぐる問題
・「配転命令」の有効性判断基準を探る
嘉納英樹 弁護士 / 鈴木尚太 弁護士

・通報者の匿名性維持が基本で最大の問題
電気機器メーカー 内部統制部門責任者 / 内部監査部門責任者

 
CAFCによる他地域への移送命令が増加
「ロケット・ドケット」とは呼べない テキサス州東部地区
ライアン・ゴールドスティン 米国弁護士

OPINION
法律家の交渉力
森下哲朗 上智大学法科大学院教授

Inside Story
「国際カルテル」包囲網
三宅伸吾 日本経済新聞社 編集委員

連載
実務解説
近年の株主代表訴訟─不提訴理由通知への対応と企業としての心構え─
貝塚光啓 弁護士

[新連載] 非公開会社のための 新・会社法実務NAVI
定款の取扱い
山田直樹 伊藤忠シェアードマネジメントサービス ビジネスサポート部長

実務感覚が分かる!M&Aロードマップ
クロージング対応等
熊木 明 弁護士

企業会計法Current Topics
監査人をめぐる議論の再沸騰
弥永真生 筑波大学大学院教授

海外販売・代理店契約シリーズ
既存販売店との契約条件を毎年見直し
吉岡伸弥 コニカミノルタホールディングス 法務総務部第1グループリーダー

ハブ法務を実践するための日・英・中対応国際契約講座
国際販売店契約  現地主導のリコール実現のための契約
長谷川俊明 弁護士

World Legal & Business Guide
シンガポール
関口智弘 弁護士 / 茨城敏夫 弁護士

Global Business Law Seminar
ソフトウェアの保守サービスにおける 独禁法上の優越的地位の濫用と知的財産権との関係
高田 寛 ビーコンIT 法務部長・産業能率大学兼任講師
リーガル・テクノロジーの潮流
第24回 米国訴訟の鍵を握る 最新テクノロジーの動向(2)
Ji2
具体例に学ぶ e法務ソリューション
目的に合わせた管理と利用で効果を最大化
AOSテクノロジーズ

外資系企業法務部長としての7年
「コンプライアンス」は法務部の仕事か
光明宏之 英国法弁護士

牛島信のローヤー進化論
Pick up! セミナー情報
Movie/Art/Book
編集後記・次号予告
BOOK in BOOK
LAWYERS GUIDE 2012

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