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「企業内法曹」について一考/唐津恵一

東京大学法科大学院ローレビューからの論考。書かれているのは新日鉄およびその関連会社、並びにHOYAで法務を経験されてアカデミックに転じられた方。経営法友会などの企業法務部の実態調査の最新のものを踏まえて、企業法務の役割と職業倫理の確立を欧米との比較を交えながら論じられている。

なるほどと思うところもある反面、?!と思ったこともあるので、その辺をメモしてみる。


1.法務の立ち位置について

実態調査においては、案件の変更・拒否権を持っているのは1/4程度ということのようだ。著者は「企業の法務部門の究極の役割は、企業の意思決定の合法性と合理性を確保することであり、合理性の基準は株主利益最大化原理に基づくべき」との考えに基づき、「①違法な内容や株主利益最大化の観点からは是とできない内容の意思決定がなされようとする場合に、毅然と「否」ということができることと②不断に企業活動を点検し合法性や合理性を確保するために必要と思われる旋削については自ら提案することが必要」とされている。

なるほどと思うし、それが理想だとは思うけど(*1)、合法性の部分は何とかできるとしても、合理性の部分について、法務でどこまで判断できるのか、疑問の余地があるように思う。間接部門として、ビジネスをどこまで理解しているのか、実働部隊とどこまで日常のビジネス感覚を共有しているのか、という辺りと関係してくるのだろうけど、一方で、距離をおいているが故に冷静な第三者的な判断ができるという面もあり、冷静にブレーキをかける必要がある側面もあるので、その辺の間合いの取り方については、一義的に答えを決めるのは難しいのではないだろうか。

寧ろ、個別の判断において、その内容および過程につき、事後的な検証または外部の批判的視線との関係において、不合理なものと判断されることのないよう、事業部門の意思決定をサポートする、十分な検討や、検討結果を裏打ちする根拠資料が整っているか、素人目線で吟味するということが大事なのではないか、という気がしている。


2.取締役との会社との利益相反への対応
法務にとってはあくまでも会社がクライアントであって、会社の取締役はクライアントではないから、取締役の善管注意義務を満たすための弁護士の意見書の手配を会社費用で段取るのは、如何なものか、という趣旨のコメントがあった。確かに、オリンパスの騒ぎとかを見ていると、会社と会社の取締役との利害が相反する状況があることは容易に分かるわけで、そういうシビアな状況においては、法務はあくまでも会社がクライアントであるということは肝に命じていないといけないのも確かだろう。

とはいえ、ではどうしたらよいのか、というと結構答えが難しいのではないか。費用のことを別にしても、利益相反をうるさくいえば、会社の顧問弁護士の事務所には相談させられないだろうから、特定の事案について、会社との関係でコンフリクトのない事務所に相談できるようにしておく必要があるだろう。その意味では法務が弁護士事務所と広く関係を持っておかないといけないということになるのだろう。ただ、事案にとって最適な事務所を会社ではなく、取締役に紹介したら、会社に対する忠実義務(という言い方が良いのかどうかわからないが)との関係で問題が生じないのだろうか、という気もする。

幸いなことにそういう難しい状況下になったことがないので、正直、杞憂でしかないのかもしれないけど、気になったので、一応メモしておく。


*1:少なくとも、ビジネスに関する理解不足故に、求められた判断を回避するようでは問題だろう。実際にその判断を表明するかどうかは別としても、判断ができるくらいになっていないといけないとは思う...実際今の職場でできているかというと怪しいけど。

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