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ゼロなのか?

先日某所での業界内勉強会でのこと。
契約書において、例えば損害賠償の範囲などについて「甲乙協議のうえ決定する」という文言からは、法律上の効果は生じないからそんな文言は入れるべきではない、という主旨の主張を某氏がした。契約書は契約当事者間の法律関係を規律する文書であるはずであるから、法律上なんら効果が生じない文言は入れるべきではないということらしい。

確かに、協議のうえ決定するというと、協議の結果がどうなるか、不明であり、かつ、そのような文言がなければ絶対に協議ができないかというと、おそらくそういうこともないので、法律上の効果がないというのは、法律論から言えば間違っているとは思えない。

なるほど、そうかもしれないと思いつつも、特に日本での契約実務においては、何か違うのではないかという気がしている。当該主張に対する違和感をその場で巧く伝えられなかったので、ここで再度整理してみる次第。

いくつかに分けて考えてみる。

1.そもそも、契約書は契約当事者間の法律関係を規律する文書だ、というのは、事実の一面ではあるものの、それがすべてではないのではないか。契約当事者の契約に基づく行為を規律する行動規範という面もあるのではないか。少なくとも契約書には法律上の効果をもたらさない文言を入れてはいけない、という規定は法律上はないと考思う(少なくとも僕は知らない)。よって、そのような事実上の行為も含めた行為全般を規律する行動規範だと解釈しても不都合は無く、そうなると別に法律上は規定がなくても可能であるはずの協議義務について、あえて規定したところで問題は無いはずであろう。

2.また、上記の損害賠償の義務の例で考えてみれば、損害賠償の範囲について、先の文言は、裏を返せは、「甲の決定により定めるものとし、その決定に対しては乙はなんら異議を唱えないものとする」ということではない、ということを定めているものと考えることができる。「 」の乙の立場からすれば、より不利な文言になっておらず、よって、より不利な法律上の効果をその場では生んでいないということには十分意味があると思う。もちろん、契約締結時点ではそのような結果になることが固定化されていないだけで、実際に協議した結果、「 」に書いたのと同じ結果になるかもしれないし、その可能性はここでは排除されていない。とはいうものの、後の交渉で結果を左右しうる可能性が多少なりとも残ったことに意味が無いというのは違和感を禁じえない。

3.前記の「 」みたいな文言を避けるのであれば、相互協議と書かずに、敢えて何も規定しない、というのでもそれほど差異はないのかもしれない。しかしながら、それは、法律論がある程度わかっている人の目から見た話でしかないと思う。契約交渉およびその履行過程においては、主に関与するのはむしろそういうことがわかっていない人が多いことからすれば、何も書いていない、というのは、不安を与えるということも考えられる。考えれば同じ結論になるとしても、考え切れない人のことを考えてあえてそのような文言をおくことにも十分意味があるのではないか。

…なんかイマイチだがそんな気がしているということでメモしておく。

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