スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

日本の雇用と労働法 (日経文庫)/ 濱口 桂一郎 (著)



最近労働法関係で調べ物を数件したことがあった。それぞれ個別に調べて対応したものの、今まで体系的に書かれた本を読んだことがなかったため、そういう本を一度読もうかと思いたったものの、一家に一冊?の菅野先生の本は、いきなり挑むと門前払いされそうである。そこで、どうしたものか、と思っていたところに、ちょうどよさそうな新刊が2冊出ていたので、まとめて読んでみた。まずはこちらの感想を。

まえがきで、「日本の雇用システム」と「日本の労働法制」の概略を、両者の密接な関係を領域ごとにひとつひとつ確認しながら解説する本、とあるとおりの本で、経済学・経営学・社会学の観点から見た分析と、法制度と、両方を橋渡ししようとするとある。その際には、「職務の定めのないメンバーシップ型」という日本独自の雇用形態の実態と、長期雇用、年功賃金、企業別組合等の源になっているという見方をされていて、特に「ジョブ型」の雇用を前提にして作られている法制度との間での緊張関係が現状のシステムのあり方を作り上げていくさまの記述は興味深い。

とはいうものの、こういう学際的なところの本は、どっちの立場(経済学・経営学・社会学 v 法学)からしても、とっつきにくくなる、ある意味どっちつかずになる可能性があると思うし、それぞれの記述はわかりやすく簡潔だとは思うけど、でも、ここまで個々の要素がつみあがると、情報量が多すぎて消化しきれず、個人的には読むのがシンドかった。

その一方では、著者の狙い通りの効果があったのも事実で、たとえば不勉強を承知でひとつあげると、労働協約と就業規則が、内容面で重なり合う面があるのに、何がどう違うのか、今まではいまひとつよく腑に落ちていなかった。ここで、協約が本来は個々の企業レベルを超えた集団的合意として締結される想定であるのに、日本では企業別組合が強かった結果、企業単位でしか締結されなかったことによる、と本書のような見方で説明されると、なるほど、そうかという気になる。

つまるところ、ここまで簡潔な形で、個々の領域について、法制度とそれを支える社会システムについて解説するのは簡単ではないと思われるので、無理に全部通読することはお勧めしにくいが、手元にあって参照できると便利かもしれない。

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

dtk

Author:dtk

日本にある企業の法務部署で働いています。
*コメント等で私に言及するときは
"dtk"でお願いいたします。

旧ブログ

ITエンジニアのための契約入門 iPod touch/iPhone用にリリースされました。詳しくはiTunesAppStoreから入手可能

初めてコメントいただく際には「このblogについて」もご覧いただければ幸いです。

カビバラさん時計
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

twitter
    follow me on Twitter
    カウンター
    Amazon.co.jp

    ブログ内検索
    RSSフィード
    リンク
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。