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判例に見る会社法の内部統制の水準 / 中村 直人



前にも書いたが、個人的には「内部統制」という言葉をマジックワードのように使いがちで、自分としても「マズイよね」と思っていたところに、商事法務のメールマガジンで刊行されたのを見つけ、早速購入して読み終わったので感想を。

会社法、金商法上、内部統制について、何をする義務が書かれているか、というところから始まり、判例上どこまでのことが求められているのか、というところについて、実務家の立場から論じられている。まだ判例がそれほど多くないこともあって、論じられている範囲には限界があるが(今後に期待ということになろう)、僕自身が不勉強なこともあり、なるほどなあ、と思うことが多かった。実務家向けということもあって、率直かつ平易に書かれていて、脚注とかもなく、かつ、分量も多くないので、一気に読めると思う。

特に、印象に残った点をいくつかメモしておく。
  1. 内部統制について、わかりにくくなっている原因について、内部統制が3つの起源(①会社法上の役員の責任論、②監査論、③COSOを中心としたアメリカの議論)を有していること、および、内部統制をみるうえでの3つの視点(a.企業価値の向上、b.財務情報の信頼性、c.法令遵守という視点)が含まれている点を指摘しているところ。

    個人的には、内保統制はなんとなく、ごちゃごちゃしているという印象があるのだけど、何故そう思うのかという点についての説明としては、理解しやすいと思った。個人的には①とc.が当然気になるわけだけど、日本では②、③やb.の視点が強調されているから、人的にも経理/財務のバックグラウンドの人が内部統制に充てられる結果、①とかc.の視点が重視されなくなっているのかもしれない、という気がしないでもない。

  2. 会社法上の内部統制と、金商法上の内部統制との関係について、特に両者の関係について、調整も整理もされていないという点。

    不勉強なこともあって、両者の関係については、何らかの調整または整理がなされているものと思い込んでいた(その割にはそういう記載は見たことがなかったが)。ここで、両者の関係について、調整も整理もない、と言い切ってくれているのは、自分の誤解を正すうえ有用だった。

  3. 内部統制の水準について、同業他社並みとしつつ、通常想定される範囲のリスクを防げばOKとしているところ。また、費用対効果については、前記の3つの視点のうち、最初の2つ(a.とb.)との関係では勘案して良いとしているところ。

    ここのところ、特に、費用対効果についての考え方が一番知りたかった点。a./b.とc.とで区分しているところは、費用対効果を考えて良い部分と、そうでない部分との切り分けは、明快で分かり易いと思う。

  4. 内部統制に問題があったケースでは、最高裁判例では、総合判断説をとっているという指摘。即ち、まず体制がとうであったか、通常想定されるリスクを防止できるかをチェックし、その後現実化したリスクを予見すべき特段の事情があったかという形で内部統制オリジンな発想で判断をしているという指摘。

    内部統制に関して何か問題が起きたら、結局は後知恵で判断されてしまうのではないか、という漠然とした懸念も持っていたのだけど、これに対しては、日本システム技術事件の最高裁判例を踏まえて、上記のように指摘されている。地裁・高裁で取られていたようなアプローチ、つまり、発生した不正から始まり、その原因のリスクを特定し、それが予見可能であれば義務違反とする、というのでは、後知恵で判断しているかのようにも見えてしまい、経営判断の原則の下、経営陣に裁量を認めていることに反することにもなりかねず、その意味では、妥当なんだろうと考える次第。











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