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優越的地位濫用規制と下請法の解説と分析 / 長澤 哲也 (著)



漸く一通り目を通したので、感想をば。

個人的には少なくとも2つの意味で類書のあまりない本ではないかと思う。それ故に買ったわけで。
  1. 下請法に関する本で、公取関係者でない実務家の弁護士さんが書かれている。
  2. 優越的地位の濫用規制につき、下請法と独禁法とが地続きで論じられている。





1.については、昨年下請法の社内講習会の準備で、公取のテキスト以外の本を探したときに、結果的に公取およびその関係者の手によるものしか見つけられずに(*1)、残念に思っていたところだったので、この一点だけでも購入する気になった。公取およびその関係者の書かれたものの重要性は認めるものの、公取に対して中立的な立場からの本があってほしいと思っていたから(*2)。その意味で、はしがきの次の記載には、頷くばかりである。

これまでの優越的地位の濫用規制は、どちらかといえば下請法の運用を中心としたものっであった。下請法は、そのエンフォースメントが公正取引委員会による勧告を頂点としたものであることから、裁判例や新欠礼による解釈の展開がほとんどない。そのため、下請法について公正取引委員会がどのような解釈を採用しているのかが重要となり、下請法の調べものをする際には、公正取引委員会の示す運用基準や、担当官・OBの方々の著書などを横断的に調べるという作業を行う必要があった。ただ、求める解釈が見つかった場合でも、なぜそのような解釈が導かれるのかについて考える糸口を見いだすことができるのは、残念ながら非常に稀である。とりわけ解釈の示されていない問題に対処するためには、考え方の基盤を知る必要がある。下請法にかかわる事業活動を行う方々やそのサポートをする実務家にとって、公正取引委員会の見解を知るだけではなく、下請法を主体的に解釈するための基軸が求められているであろう。



2については、下請法は、独禁法の特別法という側面があるにも拘わらず、独禁法と込みで論じられる本は、僕が見た限り、今年の頭に読んだ、「下請企業の契約実務」(こちらも公取関係者以外の本だけど...)(*2)くらいしかないような気がするが、優越的地位の濫用規制に関するガイドラインについて、施行後の状況も踏まえて書かれているのはこの本くらいで、その意味でも有用なのではないかと思う。

内容については、公取およびOBの著作、公取のテキスト、審決などを丹念に調べられていて、それぞれについて、脚注できちんと出典が明らかにされている。また、上記の関係者以外の、学者の方々、弁護士さんの著書、記事などもフォローされていて、こういうのは、上記の関係者の方々の本ではやりにくいのではないだろうか。従って、この本を出発点にして、下請法と優越的地位の濫用について検討して、必要ならそれぞれの出典に当たる、という使い方が可能で、辞書的な使い方も可能となっている。

また、いちいちどことメモはしなかったが、随所で、公取関係者とは異なる見解を述べられているところもあって、こういう形で、役所の見解とは異なる見解が述べられているのは、その当否を論じる能力がないものの、それ自体が有用だと思う。
(個人的には、「製造委託」における「製造」の定義のところで、製造工程における運搬行為について、製造工程の中における行為だから「製造」行為に含まれるという解釈を「いささか苦しい解釈」として「役務提供」と考えるのが素直である、とされているのが(p41)、何故か印象的だった。前の勤務先で個々の部分が話題になったときに、公取の解釈を見て、違和感を感じていたので。)


*1 公取関係者のテキストしか無いのか、とtwitterで呟いたら、ないですね、と白石教授からMentionが来て驚いた
*2 村田弁護士の「下請企業の契約実務」も関係者ではない弁護士さんの著作ではあるが、下請企業の実務担当者向けという感じで、下請法についての突っ込んだ話は、書かれていなかったと思う。

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