スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

最後に勝たなくてもいいから...

負けないこと、いや、そもそも試合にならないのが一番(何のことやら)。


珍しく裁判例を読んでみたのでメモ。オリンパス内部報復事件である。僕よりも少なくとも数倍は忙しいはずのFJneo1994さんが、すばやくエントリについてまとめてくれたのを読んで、これはヒドイな、と思ったので、遅ればせながら読んでみた。

なお、FJneo1994さんのエントリでは地裁判決のひどさに焦点があれられているが、高裁判決が某所でupされているとtwitterのTLで教わったので、そちらも合わせて読んでみた。
(ただし、upされていたものについては、現物のコピーを上げているものの、関係者の名前の消し方に疑問があるため、ここではリンクしないでおく。そのうちしかるべき形で高裁判決が正式なところに出るだろうから、慌てる必要はないだろう...)

地裁判決のヒドさについては、FJneo1994さんが的確にまとめられておられるので、それ以上何かを付け加えることはないと思う。

地裁判決で、不正競争防止法違反に関する具体的認識がないことを問題視していた部分については、そもそも同社の内部通報に関する内規では、法令違反に限らず倫理上問題になりうるケースも対象としており、控訴人(原審原告)が本件内部通報当時、不正競争防止法違反の認識があったとはしなかったものの、問題の行為による取引先との関係悪化の可能性について、根拠のある相当の懸念があったとして、その場合は、当該内部規定に基づき、本件内部通報について、控訴人の秘密を守りつつ、同社コンプライアンス室が適性に処理する義務があった(そのうえで更に、控訴人の氏名を開示したことについての控訴人の同意については、原告その他の関係者の証言および電子メールでの記載から、その存在を否定)としたうえで、次のように判示している。

(p46-47 注:関係者の引用については、dtk側で固有名詞を置き換えた。)

 以上の事実を総合すれば、被控訴人αは、控訴人の言動によってβからの二人目(γ)の転職を阻止されたと考え、さらにはその後もIMS事業部内における被控訴人αらと控訴人との人間関係の悪化が解消ししなかったことを問題視し、不快の念を抱いたと推認できる。
 これに加えて、第一配転命令は、控訴人がNDTシステムグループ営業チームリーダーの職位に就いた僅か半年後にされたものであること、被控訴人αが第一配点命令を検討し始めたのは控訴人が本件内部通報をしたことを知った直後の平成19年7月であり、第1配転命令の予定が控訴人に説明されたのが同年8月27日であること、及び、後記(4)で認定の第1配転命令の内容や、これについての業務上の必要性の程度に鑑みれば、被控訴人αは、控訴人のβの従業員転職に関する本件内部通報を含む一連の言動が控訴人の立場上やむを得ずされた正当なものであったにもかかわらず、これを問題視し、業務上の必要性とは無関係に、主として個人的な感情に基づき、いわば制裁的に第1配転命令をしたものと推認できる。そして、控訴人が本件内部通報をしたことをその動機の一つとしている点において、第1配転命令は、通報による不利益取扱いを禁止した運用規定にも反するものである。




で、メモしたかったことはそういうことではない...。前置きが長くなってしまった。




地裁・高裁双方の判決を読んで気になったのは次の諸点。

1.オリンパスはこの件をどうやって決着させるのだろう? 
どういう形であれ、紛争が始まってしまった以上、どういう形で幕引きを図るか、は重要だと思う。ご本人を最初の配転前の部署に戻すというのは、既に最初の配転から相当時間が経過していて、配転前のご本人の知識も人脈も陳腐化していて活用できない可能性もあるのと、この騒ぎで、この訴訟で出てこない他のスタッフの方々との関係でも、今更戻しにくいということになるのではないか。高裁判例が最高裁でひっくり返らない限りは、現部署に留まることもできないし、仮にひっくり返ったとしても、実務的には無理があると思う。
個人的には、原告は、ここ数年は本件訴訟に注力してきたことには間違いがないだろうし、おそらく、同社の内部通報制度の問題点に一番通暁していることも間違いないはずだから、いっそのこと内部通報を所管するコンプライアンス室で勤務という選択肢はありうるのかもしれないという気がする。内部通報の扱い方を間違うと、当事者がどれほどつらい思いをするか、誰よりも分かっているのは間違いないし、そういう貴重な、それこそ余人をもって代えがたい経験を活かす意味でも、コンプライアンスで活躍されるのは悪い話ではないと思う。

2.同社のコンプライアンス室の対応のまずさがこの問題の発端だけど、どうするべきだったのだろう?
本件では、内部通報のようなセンシティブな案件についてのやり取りをメールでやることの難しさを実感した。本件で問題になった誤配信の問題はあるし、一旦送ったら、そのあとは受領者がどこの誰に転送するか、歯止めがきかないかもしれない、という危険は常にある。
もちろん、認識の共通化、および、誰がこの話を知っているか(裏をかえせば、この話を知らないのは誰か、についての認識も共有する)意味で、同報メールというのは便利なのだが、受領者のITリテラシーも勘案すると(特に上の年代・職位の人については、人によっては厳しいものがあると思う)、メールでやるのは危険と言わざるを得ない。face to faceか電話でやっておくのが寧ろ安全なのかもしれない。


3.誰かの異動を考える際に、その当人が内部通報とかしていると、内部通報と異動との関係について、フィルタリングが必要ということになるのではないか。
人事と内部通報を所管している部署との連絡が悪いと、その辺で抜けがでてしまい、悪く解釈されるリスクがあるということになるのではないか、という気がする。機密保持とのバランスを取りながら、人事との連携を確保しておかないと、後でトラブルになるということは留意しておいても良いのかもしれない。

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

dtk

Author:dtk

日本にある企業の法務部署で働いています。
*コメント等で私に言及するときは
"dtk"でお願いいたします。

旧ブログ

ITエンジニアのための契約入門 iPod touch/iPhone用にリリースされました。詳しくはiTunesAppStoreから入手可能

初めてコメントいただく際には「このblogについて」もご覧いただければ幸いです。

カビバラさん時計
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

twitter
    follow me on Twitter
    カウンター
    Amazon.co.jp

    ブログ内検索
    RSSフィード
    リンク
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。