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BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 10月号

いつもの如くBLJの感想をば。特に気になった記事だけについて感想を、と思ったのだが、今回も読みでがあったので、遅くなってしまった…。



一番印象に残ったのは、特集より、堀教授と淵邊先生の対談。自分のキャリアプラン(とエラソウに言えるほどのものは何一つないけど)について、色々考えていることがあるから、なのだけど。淵邊先生がNI(現双日)に出向されていたとは知らなかった。だから、堀先生の日経文庫の本の改訂版は共著になったのか、と納得。

一番刺さったのは、堀先生の次のお言葉。

30代後半から40、50代の前半までが体力・気力が一番充実しているんですよ。論文なども、そのときが一番書けるんですよ。それで、土日の仕事がないときに(土日でも仕事があることはあるんですが)朝から晩まで論文を書いていました。何年もずっとです。それは大変ですよ。だけど、体力・気力と目的意識があるから、続けていけたわけです。

やはり、並のことをやっていても絶対ダメです。


目的意識が今ひとつ持ちきれていないで、並以下なので、刺さって痛い…。


 
第1特集については、既にTwiter上でも話題になっているが、リーガルコスト管理について。赤裸々な話をそれなりにきちんと拾って記事にできるのはさすが、というか何と言うか(NBLとかではやってくれそうにないし…)。
とはいえ、内容については、うーん、そうだよね、とは思うけど。それだけかな。エラソウに言えるような立場ではないけど、あまりアッと驚くような何かがあったという印象はなかった。基本的なことをきちんとするのが難しいのと、それ以上の妙手がないということなのかもしれない。ただ、光明弁護士の、請求書を出すときに、顧客に十分なサービスを提供できているかどうか、考えるという指摘は、重要かもしれないと思った。受け手の側としても、支払いに見合うサービスを得ているか、得ていないとすれば、こちら側で改善できることはないか、考えてみるのも重要なんだろう。

ついで、というと語弊があるが、話がそれるが、僕自身が見聞きした範囲で、企業の法務側で、大物案件について重要と考えることを、メモしてみると、次のあたりだろうか(senri4000さんをはじめとしてもっと経験のある人からすれば違うのかもしれないけど...)。
  • 相見積もりは取るのが前提と考えておくべきか。不要な場合は不要な理由つけを用意する(時間的制約によることが多いのだろう)。
  • 可能であれば、大きな案件を頼む前に、小規模な案件でスピード感とか対応の丁寧さとかを見ることができた方が良い。
  • 見積もりをもらう前に何をどこまでしてもらうか、というイメージのすり合わせをきちんとする。でないと見積もりがまともなものにならない。大きな話では、次のあたりについてもすり合わせが必要ではないかということ。もちろん、そのためには、こちらが案件の規模感を掴んでいないといけないけど。
    • どういうクラスの弁護士等がどれくらい関与するのか。アソなのか、シニアのアソなのか、パートナーなのか、それ以外なのか、ということ。ランクだけではなく、案件によっては、従前の学歴・業務経験歴も確認すべきだろう。アソの人数を無闇に増やさないということが重要そう。
    • こちらの目指すところというか、優先順位。M&Aの場合には、このディールで何がほしいのかということ。
    • 分かっている範囲でのだいたいのスケジュール感
    • こちらの体制(社内の意思決定のプロセスとか
  • 相見積もりの中でどこを選んだのかは、社内にも、起用したところ、起用しなかったところ、それぞれに対する説明が必要。起用しなかったところにも、次につなぐ意味である程度の説明はしておいたほうが良いと思う。
  • フィーについて、どういう積み上げで、この値段かということもある程度つかんでおかないと、そこから大きく増額する羽目になったときに、社内の説明がしにくくなると思う。前提になっている部分がこう変わったから、こう増額することが必要であるという言い方が出来る余地を残しておくのが安全ではないかと思う。
  • 請求書については、いつ誰が何をして単価がいくらで、ということ、および、out of pocketの費用について、きちんと内訳をもらって、実務を担当していて、内容をチェックができる人間がきちんとチェックすること。もらうだけでもプレッシャーになるかもしれないけど、余計なことをさせていないか、チェックする。
  • 請求書については、タイムリーに文句をいうためにも月次でもらうべきか。
  • 文句をいうならタイムリーにいう。
  • 言い方は工夫の余地があるにしても、こまめにコミュニケーションを取るのが最も重要なのかもしれない。
大物案件とは別に顧問契約については、現職のところでは、会社法系を中心にお願いしているところがあるが、そこは、文中で出てくる大弁護士が提示している料金体系のような感じになっていて、お願いする時としないときとバラツキがあっても、相談時間で未消化の分の繰越ができているので、費用負担が過大という感じもない。使いもしない顧問契約に毎月一定額が出てゆくのは変だからそこを減らすことを考えるというベリーベストのアイデアは、最初twitterで見たときにはギョッとしたが、記事を見ると、確かにアイデアとしては悪くないのだろう。実際のところどうなのかはさておくとして。


第2特集についても、大物弁護士2名の話も興味深い(諸石弁護士のお話については、より詳しくはこちらの本に詳しく載っている。メーカーの法務の方にとってはお薦めです)が、ケーススタディもなかなか難しいが、労務問題についての話が一番興味深かった。どれについても、優先順位や、他の事案とのバランスを間違えずに対応することが必要ということは共通していると思うのだけど、冷静さを失いやすい状況になりやすいだけに、難しいところだと改めて感じる。もっとも、だからこと、法務の存在意義が示せるわけだが...。
また、中島弁護士のコメントの中で、特に「「安全性の予測を間違えた」など予見可能性については謝罪してはいけないのですが、それ以外なら謝罪しても法廷での争いには影響はないと経営陣に助言すべき」というのは、覚えておいて損はないのだろう。


販売・代理店契約の記事は、その両者の違いについて、リスク遮断の観点での説明が有用だった。不勉強にしてその側面については、認識していなかったので。起用する相手を、独立性の高い販売店であり、両者の関係は単なる売主・買主の関係でしか無いとして、リスクを遮断するというのは確かに重要な観点(単に僕が無知なだけだという説も…)。


M&Aロードマップは、最終契約における表明保証に関して。個々の項目についての説明についても、条件付けの仕方についても、個人的にはなるほど、と思うことが多い。説明も分かり易い。特に「知るかぎり」「知りうるかぎり」の限定の使い方(主体、程度、範囲)についての解説は、この種の事案の経験が多くないので、勉強になる。


M&A関連では、光明弁護士の記事も興味深い。PMIに関する法務は、個人的にも興味が有るので、できればもっと突っ込んだ解説をお伺いしたいところ。補償条項に基づく請求可能期間内に粗探しのような形で詳細なDDが必要なのではないかと思うけど、それをどのように効率的にやるか、というところについての説明をあまり見たことがないので。


ハブ法務の講座の文書管理の話はこれまた有用な気がする。eDiscovery対応については、割によく目にするけど、中国の財産保全制度の話はあまり目にしたことがなかったので、なるほど、という感じ。もちろん法制が整っていないという面もあるだろうし、動きも早いということがあるから、今後引き続き気に止めておかないといけないのだろう。


LOI・MOUに関する記事も、今までの裁判例の整理があって、興味深かった。この種の中間的文書においては、交渉の現時点での状況と、この先どうしたいのか、を睨みつつ、個々の条項ごとに、どこまで相手を拘束したいのか、どこまで自分の自由度を残したいのかをよく検討しないといけない、というところなんだろう。こう書いてしまうと平凡かもしれないが、リソースの限られた中で、これをきちんと検討するのは、時として非常に難しいということがあるのだろう。


最後に本家から目次の引用

[第1特集] リーガルコスト管理の現状報告 
リーガルサービスの価格は下落しているのか
西田 章 弁護士
弁護士が語る 請求側の事情と実態
・企業の予算低下に合わせた見積りの悩ましさ
大手法律事務所

・M&Aのフィーコントロールには人数を絞るのが効果的
外資系法律事務所

・日常案件はリーズナブルな事務所へ
中規模法律事務所

・顧客の要望に応じて料金設定と請求の仕方を工夫
大 毅 弁護士

・顧問料3980円サービスの狙い
酒井 将 弁護士 / 浅野健太郎 弁護士

弁護士費用を どう管理するか
・ビジネスや訴訟の規模だけで弁護士費用は決められない
印刷会社 法務部長

・請求書は担当者が責任をもってチェックするべき
外資系金融機関 法務担当役員

・コストカットは一括で交渉
コンサルティング会社 法務部長

・米国法人での費用削減の試みを参考に
医薬品製造会社 法務部長/課長

双方の立場を経験して 英国系事務所の内側と法務部長としての苦労
光明宏之 英国法弁護士(ソリシター)

[第2特集] レピュテーションを守る法務とは?
法務担当者が知っておくべき説明責任の果たし方
諸石光熙 弁護士
弁護士から見た 法務担当者が陥りやすい失敗と消費者対応の傾向
中島 茂 弁護士
労務問題における レピュテーション・マネジメントの方策
中村克己 弁護士
[Case Study]【座談会】 商品クレーム発生時の対応を考える
出題者・ファシリテーター
早川明伸 弁護士

INTERVIEW
規制緩和後の 増大する法務ニーズに応え得る人材を育成
田中 稔 KDDI 総務・人事本部 法務部長・弁護士

対談
企業法務の新時代に向けて キャリアプラン、弁護士との関係
堀 龍兒 早稲田大学大学院法務研究科 教授 / 淵邊善彦 弁護士

Interview
中国進出企業を待ち受ける 贈賄リスクへの対処法
譚月明 香港弁護士 / 石川耕治 弁護士

OPINION
原発関連のやらせ事案で見直す コンプライアンス
阿部道明 九州大学大学院法学研究院教授

Inside Story
問われる 私的整理における第三者機関の役割
瀬川奈都子 日本経済新聞社 編集局 証券部

連載
実務解説
取引先会社に対する債権について役員個人に請求できる場合とは?
遠藤英明 弁護士

非上場 会社法実務NAVI
子会社設立
熊木雄介 司法書士

実務感覚が分かる!M&Aロードマップ
最終契約(4)―各論③
熊木 明 弁護士

企業会計法Current Topics
IFRSにこれからどのように対応するのか
弥永真生 筑波大学大学院教授

海外販売・代理店契約シリーズ
リスク管理の視点から契約類型を考える
長谷川俊明 弁護士

ハブ法務を実践するための日・英・中対応国際契約講座
海外子会社のリスク管理戦略②  グローバルな訴訟対応を見据えた準備
長谷川俊明 弁護士

World Legal & Business Guide
メキシコ
江口直明 弁護士 / 石原廣人 弁護士

Global Business Law Seminar
取引交渉の中間段階で取り交わす文書(LOI、MOU等)と契約交渉破棄の責任
中山代志子 弁護士・明治学院大学法科大学院客員教授
リーガル・テクノロジーの潮流
第22回 米国ドキュメント・レビューの経験からの示唆
INTERVIEW カタリスト・リポジトリ・システムズ
具体例に学ぶ e法務ソリューション
事故前提の対応で訴訟コストを削減する
AOSテクノロジーズ

外資系企業法務部長としての7年
M&Aで法務部はいかに貢献するか
光明宏之 英国法弁護士

牛島信のローヤー進化論
Pick up! セミナー情報
Movie/Art/Book
編集後記・次号予告

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