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BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 09月号 [雑誌]



出遅れたような気がするが、例によって順不同で感想を。

反社会的勢力遮断の記事については、こちらでも、取引基本契約には所謂反社条項は入れているが、それ以上のチェックはなかなか出来ていない。当然自社でのデータベースもないので、何かをするとしても、帝国データの商用データベースとかを使ってスクリーニングをやるのだろうが、それをどのようにやるのかというイメージが沸かないので、その辺をもうちょっと書いて欲しかった。ただ、この辺は企業の人は書きにくいだろうから、いっそのこと帝国データとかの人に書いてもらうとかするのが一つの手なんだろう(何ならタイアップ込みで)。とはいうものの、他社での取り組み事例は非常に興味深かった。上場前のところはやはり大変だな、と実感する。

守秘義務・競業避止義務の記事については、既にtacさん紹介しているが、僕も、やはりGEの事例が一番興味深かった。紙に書くのはそれほど難しくないし、よくやられているけど、そこから先をどうやるか、というのが難しい事例で(この辺は秘密保持契約と同じだろう)、実際に「出るところに出る」ことを主眼におくよりも、個々人に対するプレッシャーをどうかけるか、に重点をおいて考えることにならざるを得ないから、そういうことになるのだろう。
海外の法規制の紹介が、中国とアメリカだけというのは、ちょっと物足りなかった。ヨーロッパはイギリス、ドイツ、フランスくらいは紹介してほしかったし、アジアもシンガポールや香港での規制についても触れて欲しかった。まあ、紙幅の関係でやむを得ないのかもしれないけど。
一方で永野弁護士の国内の裁判例紹介はコンパクトにまとめられていて便利かもしれない(まあ、「営業秘密と競業避止義務」を読めば良いのかもしれないし、実際買って読み進めているところではあるのだけど)。確認型(知財権等で保護されてい利用できないことについて再度確認するもの)と創設型(前記の保護がなく、制限がないのに新たに禁止する形)とで判断が分かれるという指摘は、この種の契約を考える際に重要な視点という気がする。


特許法の改正の記事は、不勉強で当該改正について知らなかったので、ちょうど良かった。ライセンス契約の使い勝手がよくなる点(特にライセンサーの倒産時)では、歓迎すべきだろう。ただ、著作権法、商標法で対応する改正がなされないのが、気になるところ。文中でも指摘があったが、パッケージで特許だけではなく、著作権、商標も込みでライセンスするようなケースで話がややこしくなるので、規定をそろえておいてほしいと思うのだが…。


震災後のリーガルリスクの記事も面白かった。今の勤務先でも、安否確認のための個人情報(携帯メールのアドレスの収集)については、個人情報保護の観点で問題ではないかという議論があって、最初の淵邊先生のコメントにあるようなことを言ったことがあったのを思い出した。
それとは別に北島先生の次の言葉はこれまた「刺さる」感じがした。

災害後だからといって、実は何か特別な判断をしなければならないわけではありません。今直面している状況が法律的にどういった意味を持つのか、事前に契約で合意があったとすればどういう風に解決すべきか、そこをまず押さえたうえで、現実的にもそのとおりにするのか、新しい解決策を相談するのかを考えていくべきです。足元がしっかりしていないと現場での交渉がぶれてしまうので、まずは基本どおりの整理をすることからが法務の役割です。



M&Aのロードマップのクロージングの前提条件のところは、クロージングに立ち会ったときのことを思い出しながら、なるほど、と思いながら読んだ。囲みコラムで、best effort, reasonable effort, commercially effortの差異について、明確な差異を見出した裁判例はないことということを踏まえて、「したがって、最終的には、この三つの文言の選択に関して、ある程度の妥協をしてもそれによって大幅に法的リスクが高まらないと割り切るのも一つの考え方であろう」というのは、頷けるところ。文言をいじれるときには、いじったほうが良いのではないかという気になりがちだけど、いじってどうかなるのか、という視点がないと、法務の趣味に終わりかねないよな、と思うし、そうならないようにするにはどうしたら良いか、はいつも悩む。


訴訟・紛争対応の現場、については、続編に期待、というところかと。気になるのは、初動時の注意事項とか、弁護士の選任の仕方とか、弁護士事務所とのネットワークの作り方とか(コンフリクトとの向き合い方とか…)、そういう辺りで、今回の記事の続編でその辺りについてのコメントが伺えると良いと思う。米国特許訴訟の費用の概算例は面白いけど、そんなもんだろうか、という気がする。eDscoveryになってからは、discoveryにもっと費用が係るのではないのだろうか、という気がするのだが…。


中国の製造物責任法の記事も、中国に製造拠点があるメーカーの法務としては見逃せない記事だった。法令が出来たばかりで不明な点が残っているというのはやむを得ないとしても、厳格責任だったり懲罰的賠償があるという点は注意が必要だろう。


ハブ法務の法人格否認の記事は、新規進出時の受け皿をどうするかは、重要な問題なので、これも興味深い。ただ、記事の作り方としては、新規進出時の受け皿の作り方について、どのように考えるか、という切り口の方が良かったのではないだろうか。税務面に目が行きやすいが、それだけでは足りずに、親会社への責任追及を避ける(倒産隔離みたいなものか)という観点から記事を書いていただいた方が、実用的だと思う。総合評価で判断をすることになるのだから。



最後に例によって、本家から目次の引用というか何と言うか。

[特集] 退職者への守秘・競業避止義務を見直す 
退職後の守秘義務・競業避止義務 規定のポイント

木村貴弘 弁護士
在職中に得た情報の利用および競業への対抗措置 警告から裁判までの戦い方

赤川 圭 弁護士
米国の法規制と実務対応 クロスボーダー紛争対策の視点から

取芳宏 弁護士
中国の法規制と実務対応 不正競争防止法と労働契約法の注意点

大坂彰吾 弁護士
転職には寛容でも義務違反に厳しく対応

君嶋祥子 日本GE アソシエイト・ゼネラルカウンセル 雇用労働担当
裁判例に見る 競業避止義務の有効性と義務違反の成否

永野周志 弁護士


[Focus] 条例施行を機に取り組む 反社会的勢力の遮断
他社はどこまで進んでいるか 反社排除の取組例

[金融]日々更新される自社データベースを活用
SMBC日興証券 総合管理部
[不動産]実体験を基に社内ルールを厳格化 条例の内容には一部疑問も
アトリウム 業務管理部法務・コンプライアンス担当 
加藤充彦 リーダー/齋田千里/田邉茂太/守橋修一

[メーカー]経験不足は警察OBのノウハウでカバー
メーカー法務担当者

[サービス]上場準備のためすべてのステークホルダーをスクリーニング
コンサルティング法務担当者
うちの会社は関係ない? 暴排条例施行後の反社対策のポイント

長尾敏成 弁護士
合法行為を足がかりとした侵入に備える 反社会的勢力排除の仕組み作り

西尾 晋 エス・ピー・ネットワーク コンサルティング事業本部 総合研究室 課長

震災対応
議論しながら学ぶ 震災後のリーガルリスク対応【後編】

淵邊善彦 弁護士
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役 ジェネラルカウンセル

実務解説
平成23年特許法改正 当然対抗制度の導入でライセンス契約実務はどう変わるか

松田俊治 弁護士
山陽マルナカの事例から考える 「優越的地位の濫用」取締り強化

村田恭介 弁護士


OPINION
商標制度のガラパゴス化を憂える

土肥一史 日本大学大学院知的財産研究科(専門職大学院)教授

Inside Story
Googleの脳みそ

三宅伸吾 日本経済新聞社 編集委員

連載
実務解説

懲戒処分の実務Q&A
友常理子 弁護士
非上場 会社法実務NAVI

代表取締役の交代
北詰健太郎 司法書士
実務感覚が分かる!M&Aロードマップ

最終契約(3)―各論②
熊木 明 弁護士
企業会計法Current Topics

コンドースメント(condorsement)
弥永真生 筑波大学大学院教授
ハブ法務を実践するための日・英・中対応国際契約講座

海外子会社のリスク管理戦略①  「法人格否認」の回避
長谷川俊明 弁護士
World Legal & Business Guide

オーストラリア
近藤 浩 弁護士 / 新村文子 弁護士
Global Business Law Seminar

中国における製造物責任
河村寛治 明治学院大学法科大学院教授
黒瀧 晶 GBL研究所研究員・明治学院大学大学院法学研究科博士後期課程在学
リーガル・テクノロジーの潮流

第21回 eディスカバリーのコストとリスクを積極的にコントロール~サービス委託の場合~
Ji2
具体例に学ぶ e法務ソリューション

デジタルデータには、適切な証拠保全が必要です
AOSテクノロジーズ
外資系企業法務部長としての7年

訴訟・紛争対応の現場
光明宏之 英国法弁護士
牛島信のローヤー進化論
Pick up! セミナー情報
Movie/Art/Book
編集後記・次号予告

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