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詳説 不正調査の法律問題 / 小林総合法律事務所 (編集), 小林 英明



ビジネス法務の部屋でのエントリを見て、気になっていたのだが、ようやく買って、その日のうちに読み終わったので、感想をメモ。不正調査に関しては相当詳しい本なので、企業法務の方々にとっても、手元において損はないと思うし、不正調査を要する事態というのはいつ何時生じるか分からないので、この本を一読しておいたうえで、何かことが起きたときには常に参照できるようにしておくことが有用だろうと思う。


解説は、総論のあとに、端緒から調査、調査後の対応と時系列に沿った形でなされており、目次も詳しい。そのため、実際に実務で参照したことはないので断言はできないが、とっさの場合でも、知りたい事項には比較的容易にたどり着けるように思われる。また、判例や事例も丹念に調べられているので、事例を引いて、調査の必要性等について、社内(特に役員(*))を説得するうえでも有用なのではないかと思う。

*「株式会社において、取締役は、会社に対する善管注意義務(会社法330条、民法644条)および忠実義務(会社法355条)を負っているが、不正調査の実施は、かかる義務の履行の1つということができる。
すなわち、取締役は、会社の不正行為を認識した場合、会社の信用失墜の回避や信頼の回復を図るため、当該不正行為の実態およびその全貌を速やかに調査し、事実関係の把握に努めつつ、不正行為の原因究明を行い、適切に対応するとともに、将来の再発防止措置の作成等も検討しなければならないのである。」



一通り読むと、調査過程のあちこちに、留意すべき点が見え隠れしていることがよく分かるのだが、正直、この本を読んだくらいで、これらの点をきちんとやれるようにはならないように思う。幸いこうした調査の場数を踏む機会は、今までなかったのだが、場数が必要なことを痛感する。この種の問題に強い弁護士さんたちに調査をしてもらうことのメリットを実感した(メリットばかりではないことは、この本の中でも出てくるので、そちらについても理解はするのだが)。

一方で、書いておいて欲しいと思ったけど、書いているのを見つけられなかった、または、書いてあることが十分ではないように感じられたこともあった。
  • 以前所謂ヤメ検の方のこの種の調査についてのセミナーで、東京地検方式として、リーダーのみが調査の全体像を把握し、ここの調査員には断片的な指示のみを与えるやりかたが紹介されていた。情報漏えいのリスク回避などには有用なのだろう。ただ、リーダーが「筋読み」を間違えると、調査というか、捜査が操作になりかねないのは、既に明らかになっているとおりだと思う。チームで調査をしていく際に、この辺りのミスをどのように防ぐか、という話がほしかったように思う。どうしても当初は断片的な情報に基づいて調べていくことになるわけで、その方向性が間違わないようにするにはどうしたらよいか、というところは重要だと思うのだが。
  • 既に山口先生がご指摘になっている、役員が不正行為にかかわっている可能性がある場合の、取扱については、従業員の不正調査の方法に比して、確かに記載が少ないと思う。別の意味での調査のやりにくさがあるはずなので、その辺についての記載がもっとあると、さらに良いのではないかと思った。




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