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BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 06月号 [雑誌]



例によって感想。今回は特に読み応えがあったような気がする。

特集は震災法務。この短期間に纏め上げた機動力がまず凄い。余震の続く中、自宅からskypeで会議しながら、というのは、今さら別にできても不思議はないとしても、あの状況下で実際にやったというのが凄い

各社の実務のお話は興味深かったが(僕もアンケートには返信しました)、印象に残った個別の署名入りの記事について、特集に限らず、以下順不同で感想をば。一部は既にtwiterで呟いた内容と重なる。

まずは震災関係から。

「災害対策における法務部門の役割」については、これでも一応法務部門の責任者とやらなので、色々と「ぐさっ」と刺さる感じの記載があった。特に次の2つ。前者については、特に「待っていた」つもりはないが、結果的にそうなっていたような気がするし、後者については、そもそも引き出しがあまりない…。この特集を読んで、もっと社内に情報発信すべきだったと反省。
  • 「法務部門としては、何が問題か、その解決方法は何か、といったことを平常時以上に積極的、能動的に検討する姿勢が求められる。逆に待っている状態では、存在すら忘れられかねない状況であり、それはその後の復興において、法務部門軽視の風潮が根付きかねない危険を孕んでいる」
  • 「企業法務においても、災害対応時には、引き出しを開けて、持てる限りの「知恵」と「ノウハウ」を出すことが求められる。」
「法務のTo Doリスト」については、こちらの会社では、顧客対応とか法務が関与しないことも多く、逆に、「ああそうか、そういうこともしないといけないんだな」というのが分かって興味深い(不謹慎かもしれないが)。取引基本契約書については、時期を見て改める必要があるので、これは至急対応しよう。

「社内クライアント別Q&A」は、良い切り口だと思うし、内容も実際的だと思う。
  • 調達先の切り替えについては、言うほど簡単ではないのではなかろうか。所謂4M変更についての発注先の承認を取る様義務付けられている場合は、自社だけの問題ではない。品質、コスト、納期等のバランスで妥当な代替調達先を見つけるのは難しいし、費用対効果を考えると、実現可能性が高くないことにどこまでのコストが掛けられるかというと疑問が残る。それよりも、普段から複数購買をして(当然発注先の承認も得る)、結果的に調達先が分散するような形を取る、という発想の方が、実現しやすいのではないだろうか。
  • 取引先の復旧のために、当該会社のために債権免除を行った場合、その損失が寄付金に該当しないというのは、何だか俄かには理解しがたいところ。
  • 災害対策のための連絡網の作成のための個人情報の取得または利用について、個人情報保護法との関係に関する説明は、震災を気に東京エリアの連絡網をupdateするという話があり、その過程でこの点についての疑義が出ていたので、ちょうど良かった。
「災害対策マニュアル改訂のポイント」については、浅見先生がtwitterで「善管注意義務」以外法律用語が出てこない、とコメントされていたが、それでもこれもなるほど、と思うことが多かった。こちらについても総務が災害対策の見直しをしていたので、参考になった。
  • 地震直後の火災に対する備えは確かに重要。
  • PHSは確かに繋がった。勤務先ではネタにされるくらい少数者だが、こういうときは便利。ウィルコムはこの辺りを上手くマーケティングに使って欲しい。
  • 人の移動手段は確かに重要。阪神淡路のときは、大阪勤務だったが、確かにバイク、自転車は有効だったし、津波がないこともあって、大阪ー神戸と船を手配していたっけ(同期が船着場で船の番をしていた)。

特集についてはここまで。以下、それ以外の記事について


Technology関連の連載では、今回は秘匿特権についての話。秘匿特権それ自体取扱が難しいらしい(この辺は関戸弁護士の本を見ると一端がうかがわれる)ので、もっと具体的なところの説明があったほうがよかったのかもしれない。囲み記事との関係ではclawbackの話はきちんと解説が読みたい。大量のデータを短期間で扱う以上、ミスは避け切れないわけで、そうなると、clawbackをどのように行うか、どういうリスクが残るのか(見たものの記憶は残るというのは理解できるが、それがどこまで訴訟で使われる可能性があるのか)という辺りの説明とか。

従業員の給与差し押さえへの対応については、滞納処分対応についての記載もあってほしいような気もしたが、それを別にしても、差し押さえ限度の具体的な計算方法までは調べたことがなかった(そもそもそういう案件に仕事で関与したことがない)ので、なるほど、という感じ。

海外販売・代理店契約についての記事は、これまた、そういう相談があったばかりなので、参考になる。ただ、"exclusive"の定義について、「解説書などを読むと、"exclusive"だとメーカーは自ら販売できないとか、英国と米国とで意味が異なるなどと説明されている場合があるが、それは正確ではない」とあるものの、じゃあ、正確にはどういうことなのか、記事を読んでもよく分からない。定義がはっきりしないから、契約書で定義をしておきましょう、という趣旨なのだろうが、何を根拠に「正確でない」と言っているのか今ひとつ不明瞭な気がした。

非上場会社法実務naviって、これはなかなかニッチなところを突くなあ、と思いつつ、確かに関連会社(100%子会社とか)の扱いをきちんとするうえでは重要。紙のうえでの作業という色合いが強くても、きちんとやっておかないと後から問題になったりすると面倒なので、そういう部分に焦点をあてた企画は面白いと思う。書面決議は関連会社の管理上よく使うけど、今ひとつ不安が残っているので(きちんとできているのか、単に問題になる状況が来ていないだけなのか区別できない)、連載を楽しみにしたいところ。

M&Aのロードマップは毎回楽しみにしているのだが、今回の最終提案書を使ったプレッシャーの掛け方とか、オークション場合における、売主等の属する業界に詳しいFAの起用の買主側にとっての意義とか、勉強になる。

ハブ法務の記事は、これも勉強になるのだが、こまぎれ過ぎるような気がした。毎回もう少し紙幅があったほうがよくないだろうか。

外資系企業法務部長としての7年、の記事は、法務部の立ち上げについての話のようなので、これまた興味深い。今後の連載の内容を書いたMenuだけみても、どれも面白そう。個人的にはリクルーティング、人の採用の辺りにどれだけの記載があるか、期待している。決裁基準のサンプルや英文決裁申請書のサンプルも興味深かった。どちらについても他社のサンプルを見る機会はあまりないと思うので。

イギリスの法制度の情報整理の記事については、個人的にはBribery Act 2010の説明が興味深かった。気になってはいたけど、資料を読むことができていなかったので。アメリカのFCPAと比べて、私人に対する商業的賄賂についても、贈賄罪、収賄罪が成立する点は、確かに注意しないといけない。そのほか、域外適用やfacilitation paymentの取扱についても気になるところ。

一人法務の記事については、先に答えを見てしまったので、しまったな、と思ったが、面白い。こういう形式のセミナーは一人法務でなくても受けてみたいかもしれない。


例によって最後は本家より目次の引用

[特集] 震災法務 ―今後生じる法的問題への対応法 
震災対応 ~そのとき法務は?


・[緊急アンケート] 震災後に各社法務部が向き合った問題



・震災発生から株主総会開催までの2週間
サービス業 / 部品メーカー
[関西企業の経験談] 阪神・淡路大震災を振り返って


・「不可抗力条項」についての懸念払拭を最優先
斉藤 巧 川崎重工業 法務部法務課



・震災前年完成の他県工場に設備・人員を移動して対処
西村千里 メック 顧問


・部門に関わらず全従業員が輸送整理に
神姫バス 総務部総務課

災害対策における法務部門の役割 ~対策チームの立ち上げから復興への道筋

北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役 ジェネラルカウンセル


[優先度別] 法務のToDoリスト

中野明安 弁護士

社内クライアント別 Q&A


・役員・広報
中島 茂 弁護士

・営業・事業部門
福田健次 弁護士 / 大川 治 弁護士

・人事・労務
岩出 誠 弁護士

災害対策マニュアル 改訂のポイント

浅見隆行 弁護士


法務のための震災対応資料集
震災復興に関連した支援策一覧


[特別レポート] “一人法務部員”のための契約書作成講座
【第2回 業務委託契約編】

解説:岩佐孝仁 弁護士 / 三浦悠佑 弁護士
チューター:津曲貴裕 弁護士 / 角田邦洋 弁護士 / 江崎左千恵 弁護士 / 大倉丈明 弁護士

OPINION
ゼミナールのすすめ

山本孝夫 明治大学法学部教授

Inside Story
非常事のリーガル・マインド

三宅伸吾 日本経済新聞社 編集委員

連載
実務解説

従業員の給料債権等が差し押さえられた場合の実務対応
中村有友子 弁護士
[新連載] 非上場 会社法実務NAVI

書面決議の進め方
山田直樹 伊藤忠シェアードマネジメントサービス ビジネスサポート部長
実務感覚が分かる!M&Aロードマップ

最終提案書
熊木 明 弁護士
企業会計法Current Topics

非公開企業の会計とアメリカ
弥永真生 筑波大学大学院教授
海外販売・代理店契約シリーズ

英文契約書ドラフティングの注意点
仲谷栄一郎 弁護士
ハブ法務を実践するための日・英・中対応国際契約講座

合弁契約② グループ内部統制・ガバナンス体制の実現
長谷川俊明 弁護士
World Legal & Business Guide

イギリス
江口直明 弁護士 / 小林 努 弁護士 / 本間正人 弁護士
Global Business Law Seminar

日本版フェアユースの動向と検討課題
高田 寛 ビーコン インフォメーションテクノロジー 法務部長・産業能率大学兼任講師
リーガル・テクノロジーの潮流

・第18回 グローバル訴訟費用を大幅に下げる 「レビュー」オプション
Ji2
・INTERVIEW 
藤井和幸 米国弁護士
[新連載] 外資系企業法務部長としての7年

まずは社内ルールの設定から
光明宏之 英国法弁護士
牛島信のローヤー進化論
Pick up! セミナー情報
Movie/Art/Book
編集後記・次号予告

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