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Q&A「国際取引のリスク管理」ハンドブック / 富澤 敏勝 (著), 伏見 和史 (著)


旧日商岩井の審査部・法務部で仕事をされた方々が国際取引について書かれた本。「国際取引のリスクは、結局のところ、ほとんど法務問題に帰着します」と「はじめに」に記載のあるとおり、国際取引において、取引の開始の時点から最後までのそれぞれのプロセス、事象におけるリスクの所在と実行可能な対処法について、法的な視点を念頭において解説されている。商社視点での解説で、しかも営業さん向けの解説なので、商社以外の、法務の人に、どこまで有用か分からない部分もあるし、一部は既に陳腐化(INCOTERMSが2010になったり、日本もCISGを批准したとか)しているけれども、その他の部分については、有用な記載が数多く含まれているのではないかと思う。



個人的に参考になった箇所は色々あるのだが、一つだけとりあえず昨今の情勢との関係で、興味深かったところをメモしてみる。

売買契約書のサンプルの中での不可抗力条項に記載されている不可抗力事由。不可抗力条項の日本語部分のみ引用する(太字部分はdtkが強調したもの)。

第8条(不可抗力)
 売主は、本件商品の全部または一部の船積もしくは引渡遅延、引渡不能、損壊、もしくは品質劣化、またはこの契約の不履行について、直接であれ間接であれ以下の事態に起因するならば、その範囲において、責任を負わないものとする:
洪水、高波、落雷、台風、嵐、地震、もしくは悪疫その他の伝染病のような天変地異によるもの、戦争、戦争類似状態、暴動、もしくは革命のような公衆社会への敵対行為によるもの、その他、火災、爆発、事故、難破、封鎖、騒乱、ストライキ、ロックアウトもしくはその他の労働争議、騒擾、日本製品のボイコット、商品の製造者あるいは供給者の破産もしくは支払不能、エネルギー供給もしくは原材料の不足または制限輸送施設、船積もしくは荷降ろし施設の使用不能、港湾渋滞のような不慮の災難、および検疫のための隔離、通商禁止措置、戦時動員、徴発、輸出禁止、輸出許可書発行拒絶あるいはその他の法令上、管理上もしくは行政上の制限のような法律、規則、命令または行政機関の指導による制限を含むがそれに限られない不可避な事態(売主、その代理人、運送業者、売主への本件商品の供給者、本件商品の製造者、もしくは当該製造者に対する商品の原材料の供給者に影響を与える事態)。
 かかる事態の場合、他に別段の合意がない限り、売主は、買主に契約解除の通知をすることによって、この契約の全部または一部を直ちに解除することができるものとする。買主は、本件商品の全部または一部の船積もしくは引渡遅延を承諾し、または上記解除を承諾するものとする。この場合、売主はこの解除に起因した損失または損害について責任を負わないものとする。


地震、高波や輸送施設が使えないという事態は既に日本で起きていることであり、さらに、日本製品の輸入禁止とかは海外で起こっていることであるが、それらにより納入責任が果たせないようなケースでも、上記のような不可抗力条項では、カバーされ、債務不履行責任は免れることになる。
同様に、今後生じるであろう、電力の供給制限や、サプライヤーが被災したために製造できないがゆえに納入できないようなケースも、この条項の対象となり、債務不履行という事態は防げることになる。今回の震災などのような事態を踏まえると、この長い条項に相当な知恵が含まれているということが実感しやすくなったと思う。

このほかにもリスクの種類に応じたリスク軽減策のアイデアとか、英語力が十分でなくても契約交渉を乗り切るための心構えとか、債権保全のための担保のとり方(というか、そもそも換金が容易でないことが多いので担保を取ることは進められないと指摘がある)、随所に商社の英知の一端が垣間見られる。それぞれのコメントはきわめて端的に書かれていて、理論的な裏づけとかまでは記載がないが、それでも、実用的で、どの業種の法務であっても、海外ビジネスをする限りでは、参考になるのではないかと思う。

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