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「国連国際物品売買に関する時効条約」に加入すべきか/ 杉浦 保友

時効についての調べ物をしていて見つけたものを読んだので感想をメモ。

そもそも、この条約、ざっくり言うと、売主・買主間での請求権の時効期間を4年にするものなのだが、企業法務に従事されている方々で名前を聞いたことのある人がどれくらいいるんだろう?僕は今回初めて知ったのだが、CISGと同じく国際物品売買についての条約で、CISGではカバーされていなかった時効の取り扱いを対象としたもの、とのこと。実際、CISG-Japan DatabasePase LawのCISGのデータベースでも関連条約として取り上げられている。

UNCITRALのサイトに、英語の条文と、締約国一覧がある。日本の企業からみて、関係の深そうな締約国は米国くらいだろうか。



さて、この論文、結論として、法的安定性の確保のために条約加入を検討すべき、ということで、加入推進の立場を前面に出しているのだが…。

現状では加入している国で、それなりに日本企業の付き合いが濃いと思われるところはアメリカだけで、著者が言うような、グローバルな時効期間の統一のメリットを享受できる状況にあるとは言いがたいように思われる。アメリカについても、UCCでの規定との乖離が少なく、イヤならopt outすることも可能だから、というのは、要するに邪魔にならないから入っておいても問題なかろうということに見える。

また、CISGと併せて、グローバルスタンダードという言い方が出てくるが、グローバルに使い道があるというのは否定しないとしても、選択肢として使用できるのと、スタンダードといえるほど使えわれているのとの間には開きがあると思う。どのくらい実際に使われているのか、検証のしにくいところで、グローバルスタンダードを名乗るのはどうなんだろうという気もしないでもない。

それと、CISGとかこの条約とか、国際売買について、虫食い的に個別論点ごとに条約がばらばらできると、国ごとに締結状況が異なったりすることもありうるので、分かりにくくなると思う(適用留保とかつくと余計にややこしい)。CISGとこの条約とでも適用範囲が一部異なったりしているということも、分かりにくさに繋がると思う(少なくとも迅速に処理しにくくなる)。きちんと適用するのが難しいということだと、条約のメリットが薄れるような気がする。

現状、CISGも加入したばかりなので、そちらについての状況が一段落するまでは、加入について日本が議論するのは時期尚早という気がするし、もっと加入国が増えるのを待っても良いと思う(成立してから20年以上既に経過しているので、今さら加入する国がどのくらいあるのか、疑問が残るのも事実だが)。ただし、時効についての国内法の規定の見直しの際の考慮対象とするのには、確かに適していると思う。

・・・とあまりポジティブでないことばかり浮かぶのだが、国際統一法は確かに、ある意味での理想型の一つなのかもしれないし、そういうある種の「夢」を追うのに、水を差すのは「野暮」という気がしないでもない。


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