スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

IFRSで企業法務が変わる / 樋口 達 (著), 島村 和也 (著)


弁護士+公認会計士の著者二人によるIFRS導入の現状と、現時点(前書きでは2010年11月の記載があるから、その頃の時点、というべきか)で、企業法務(というか、企業の経理以外の管理部門、という言い方の方がより適切なのかもしれない)の実務に影響が出そうなところの論点の指摘、という感じの本。IFRSの導入というイベントの際に、「で、結局俺らは何をすりゃいいの?」という疑問に答えてくれるような本ではないか、と思って買ってみた次第。今読む分には悪くないのかもしれないが、IFRS自体の内容に流動的な要素があるらしい点からすると、内容の賞味期限はそう長くないのかもしれないと思った。




まだIFRS自体の中身がかなり動いている(このあたりは、KOH先生のblogを参照)ので、影響が出そうなところの指摘に留まり、具体的な法務の実務として、どういうことをすべきか、というところまで話が降りてきていない部分が多いのは、冷静に考えるとやむをえないのだろう。もちろん、収益認識基準と売買契約の関係に関する記載のように、ある程度煮詰まっているところもあるのだが…。個人的には、戻し入れの可能性が出てくるので、資産の減損に関する管理につき、より厳密に行う必要があるというところが、相当大変なことになるな、という意味で一番印象に残った。

本自体は、図表が上手く使われていて、適宜用語説明もあったりするものの、まったく経理や会計を知らない人が読むにはつらいものがあるかもしれない。この分量に収めるためには、ゼロから説明するのは無理なのは当然だろうけど。

通して読むと、著者の努力にもかかわらず、企業への負担が多くなることは否定しがたいように思った。それとともに、原則を示して、原則に対する自社の対応については、説明することを要求されるという考え方が基本になると、外部(会計士さんとか)に作業を依頼する量が増えることが避けられないだろうし(公認会計士さんの就職難解消の役には立つのかもしれないが)、内部についても負担は大きいことは否めないと思う。それだけの負担増を強制することが必要なことなんだろうかという疑問を禁じえない。投資側の比較可能性がお題目になっているように見受けられるが、それがそもそも必要な会社ばかりではないだろうと思う。そのうえ、原則のみが定められ、運用の部分については、説明できることを条件に各社の裁量を増やすというのでは、比較するとしても比較の手間が増えて、実際に比較ができるのか疑問の余地が残る。「比較可能である」と思い込むためだけにするのだとしたら(そうでないと思いたいが)、費用倒れ必至という気がした。所謂J-SOXのときと同じ轍を踏まないことを、祈るばかり。

経営者との関係では、経営判断の原則の適用範囲にあるとして、会計処理に関する責任を問われない範囲がどこまでなのか、自社の会計処理に関する説明を用意するとして、どこまでの準備をすれば良いのか、ある程度はっきりしないと、混乱は避けられないのではないだろうか。

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
プロフィール

dtk

Author:dtk

日本にある企業の法務部署で働いています。
*コメント等で私に言及するときは
"dtk"でお願いいたします。

旧ブログ

ITエンジニアのための契約入門 iPod touch/iPhone用にリリースされました。詳しくはiTunesAppStoreから入手可能

初めてコメントいただく際には「このblogについて」もご覧いただければ幸いです。

カビバラさん時計
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

twitter
    follow me on Twitter
    カウンター
    Amazon.co.jp

    ブログ内検索
    RSSフィード
    リンク
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。