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英文契約書を読むヒント...のようなもの(7)

前回はこちら。何かネタがまとまったら書いてみようかと思っていますが、今回はかなりマイナーかもしれない話ですいません。価格スライド条項についてのお話。このシリーズの趣旨だったはずの、読む際のヒント、になるかどうかはイマイチ自信がないが、いちおうメモしてみる。頭の中にあることをとりあえず吐き出してみる、というところ。

この条項、なじみのない人が多いかもしれませんが、長期供給契約とか、製作または製造などに時間を要するもの(プラントとか、建物とか)の請負契約とかに含まれていることのある条項。エスカレーション条項(略してエスカレ条項)とか言うこともある。一旦値段を決めたものの、原材料の価格などの高騰または下落があった場合に再度価格調整を行い、一旦決めた価格を変更するという内容の条項のこと。

長期に契約関係を続ける中で、当初の価格が不相当になるリスクをどのように配分するか、というのは色々考え方があるわけで、再調整を義務付ける方法もあれば、売主または請負者側がリスク負担すべし、としてその種の考え方を契約書に一切盛り込まないという考え方もありうる(英文契約書上で、固定価格であり、そのようなことは認めないと明記したものもみたことがある)。

もっとも、そうなると、売主または請負者側が何を考えるかというと、その分予備費(contingency)を見込むということにもなるわけで、相手に負担を押し付けるのが良いのかどうか、検討の余地があるかもしれない。プラント等を買う場合に、途中でいずれにしても仕様変更が出てくるから、いずれにしても金額変更の交渉をするとともに、追加予算を取って、それに対応する必要があって、一方で当初予算が厳しいので、予備費計上を相手に認めさせたくない、というような場合には、逆にこの種の条項を認めることで、当初の契約金額を抑えるという議論もあり得ない話ではない。交渉にタイムリミットがあるときには、そういうことを考える必要も出てくる。

理由はともかくとして、仮にこの種の条項を何らかの形で入れることになったときに、気をつけるべきポイントとして認識しているものを、上司から教わったものも含め、メモしておく(僕自身は、この種の条項を挿入しようとして受け入れてもらえた記憶が少ないので)。
  • 調整手続きをきちんと書いておく。単に「双方協議する」だけではダメということ。それだと協議しさえしれば、協議の結果がまとまらなくてもOKということになるから。協議がまとまらないなら、中立の第三者に決めてもらうというところまで条項を入れておくほうが良い(もちろん相手のあることだから、実際どこまでできるか、というと難しいところがあるのだけど。ここまでやっておかないとリスクが残るということは認識しておくべきなんだろう)。まあ、単にモノの値段をどう考えるかという話なので、前記の中立の第三者は裁判所とかである必要は必ずしもない。中立性が担保できれば、相場観の分かる専門家の方が良いという議論もあり得る。
  • 調整元を何にするか。材料が石油だけ、というなら、原油価格を基準に考えて、原油価格が一定以上上がったら、再調整、とかいう感じで決めておけばよいのだろうけど、様々な材料が複合しているときに、何を基準にするかは、結構難しいのではないか。うっかりすると、特定のものだけ値下がりしていて、全体では値上がりしていると、上げてほしいのに、相手からそこを捕まえて値下げを求められる可能性もある
  • 方向性。売る又は請け負う側からすれば、調整は値上げのみとしたいけど、相手は値下げもあり得る形にすることを求めてくるかもしれないということ。先の例で言えば、原油価格が値下がりしたら、それを口実に値下げを求められるようにしたい、というかもしれないということ。上下双方向で価格調整とかいうと、前項のような問題が生じるかもしれない。一方向だけの調整というと、そもそも交渉がまとまらない可能性もあるから、どっちに転んでも何らかのリスクがあるわけで、ダウンサイドに転ぶリスクを認識したうえで、方針を決めるしかないのだろう。
  • 元データの確保可能性も考える必要がある。先の原油の話でいえば、特定の市場での原油価格に基づき判断すると決めた場合、特定時点の原油価格のデータを事後的に確認できるかどうか、ということ。この手の話は交渉が長引く可能性が高いと見るべきなので、交渉するうちに、過去の特定時点での原油価格がいくらだったか、分からなくなるようでは、せっかく条項を決めても機能しないということ。また、その市場での取引が中止されたら、代わりに何の指標を用いるのか、ということも定めておくことも考えておいて損はないかもしれない(10年以上の長期供給契約でそのようなものを見たことがある)。


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