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Akzo Nobel Case

前にメモしたケースのECJでの判断が出た。EU競争法とか知らないけど、とりあえず読んだのでメモしてみる。

EUの競争法の下で、in-houseとの電子メールのやり取りがprivilegeの対象になるか、というのが争点。結論としては、先例を引用しつつ、privilegeを否定している。

実体面での議論は次のような構成でなされている(訴えの利益に関する議論もあったが、略)。結局のところ、一番の理由は、in-houseが雇い主に対して、経済的に従属しているため、外部弁護士と同等の独立性を有さないというところにあるようだ。
  1. 原審ではprivilegeの適用について、対象となるlawyerの立場についての解釈を誤っているとの上告人主張に対して
    1. privilegeが認められるための条件についての解釈の誤り:in-houseは雇用主に対し、経済的に依存し、雇用主と密接な関係にあるため、外部弁護士と同等の職業上の独立性を有しておらず、先例におけるprivilegeが認められるための条件を満たしていないと判示。
    2. equalityの原理の解釈の誤り:in-houseは外部の弁護士と同じレベルの職業上の独立性を有していないため、in-houseにprivilegeを認めなくても、等しいものを等しく扱うというequalityの原理には反さないと判示。
  2. 先例の解釈の誤りについての上告人主張
    1. 法改正により、先例は覆されるべき:次のいずれのレベルにおいても、先例を覆すだけに足りるものはないと判示。
      1. EU加盟国レベル:EU加盟国の中でも相当数の国で自国法の下でもin-houseにprivilegeを認めておらず、privilegeを認める方向で法改正が進んでいるということもなく、先例変更が必要とはいえないと判示。
      2. EU法レベル:一部の手続法の改正はあったものの、privilegeよりも当局の調査権を優先する方向での改正であり、先例変更が必要な事態には至っていないと判示。
    2. (ここは更に二つに議論が分かれる)
      1. 当事者の防御権の侵害する(privilegeが認められないために、競争法案件についてin-houseに相談できなくなり、相談するlawyerの選択の幅を狭めることになるため):相談する弁護士の選択の自由を含む被告側の防御権は重要であるものの、無制約に認められるものではなく、一定の制約に服するもので、その中にはprivilegeについての制約も含まれるため、防御権の侵害との主張には根拠がないと判示。
      2. 法的安定性を害する:加盟国における競争法に基づく手続きと、EUレベルでの競争法に基づく手続きとは、異なる手続きであり、privilegeの適用に関しての基準が異なっても法的安定性を害するものではないと判示。
  3. 手続法に関する加盟国の自治権の侵害との上告人主張に対して:今回問題になっている手続きはEUレベルでの競争法に基づく手続きであり、加盟国レベルの話には関係せず、主張は根拠がないと判示。
純粋にprivilegeに対する興味からこの判決を読んでみたのであって、EU競争法についてはホントに何も知らないものの、EUレベルと加盟国レベルとでprivilegeの適用範囲が当然のごとく異なっているというのは、実に頭が痛くなりそうな話である。これにアメリカとかが加わってくると、目を覆うばかりの複雑な事態が生じることになるわけで…。そういう事件に巻き込まれないことを祈るばかりである。




なお、この件は、内容が内容なので、あちこちで紹介されている。気づいたものをいくつか。you tubeにも紹介があった。また、Allen & Overyのところでの紹介では、各国の弁護士が、自国でのprivilegeの取り扱いと比較してコメントしているので、これも興味深い。

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