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裁判官はなぜ誤るのか (岩波新書) / 秋山 賢三 (著)


ヤメ検ならぬヤメ裁の弁護士が、裁判官の日常、キャリアシステムから誤判・冤罪の背景を、実例を交えて探るとともに、その改善案を提言している本。図書館で借りてみた。

2002年の本なのだが、あまりにもしょーもないことがありすぎて、大阪地検の証拠改竄等の話がどっかに消えつつある昨今でも、いや、昨今だからこそ、読んでおいて損はない一冊かもしれない。

例の証拠の改竄の件についても、木谷明元裁判官による事実認定をめぐる注意則が引用されている中でも、まず最初に、その可能性が指摘されている。題目だけ引用する(強調はdtkによる)。

1.物的証拠についても捜査官の作為があり得ることを率直に認めるべきである
2.自白の任意性に関する判例の基準は緩やかに過ぎる。また、自白の任意性を厳密に判断するには、緻密な審理と厳格な事実認定が必要である
3.任意性に関する判例の基準を前提とする限り、自白の信用性をよほど慎重に判断しないと事実認定を誤る虞がある
4.適正な事実認定をする上では検証がきわめて有用である
5.事実認定については、誤解を受けないように、判決で十分に言葉を使って、丹念に説明することが大切である。

裁判官経験者から最初に注意事項として語られる以上、それなりに、広範にあの手の話はあったものの、今までは単に露見していなかっただけなのかもしれないという気がしてくる。




例の騒動や、足利事件などのような事件についての報道を、断片的であれ、見ていると、検察も問題ながら、それを裁判所で何故是正されなかったのか、ということも、気になってくる。これらについては、公正らしさ、なるものの維持のため、社会活動もままならず、社会から隔絶された一種特殊な立場におかれたために、経験則などに対する理解不足のまま純粋培養されるキャリア育成の面や、案件量が多いのに、処理件数で評価されるがゆえに、個々の案件について検討が十分になされない可能性等が指摘されている。

また、検察と裁判官の掲示手続きについての考え方が近接していて、学説・弁護士の考え方と対照的になっているという事実も、興味深い反面、一旦国家権力に嫌疑をかけられた際には、裁判所がどこまで検察の見方に抗して
こちらの権利を守る側に立ってくれるのか疑問を禁じえない。その意味では、裁判員制度は有用ということに一応なる(裁判員になる側にとっては良い迷惑なのも確かだけど)。

最後のほうに著者の、後輩裁判官に対するアドバイスとして誤判防止のための十戒があるが(以下に題目だけ引用する)、逆に読めば、刑事訴訟におけるリスクがそういうところにある、という見方もできる。例えば、2については、「疑わしきは被告人の利益に」ということが実践されていない可能性があるということだ。彼らに裁かれる可能性のある人間である以上、こういう点は意識しておくに越したことはないのだろう。

1.「壇の高さ」を自覚する
2.「疑わしきは被告人の利益に」を実践する
3.秩序維持的な感覚を事実認定の中に持ち込まない
4.「人間知」「世間知」の不足を自覚する
5.供述証拠を安易に信用せず、その誤謬可能性を洞察する
6.公判における被告人の弁解を軽視しない
7.鑑定を頭から信じ込まない
8.審理と合議を充実する
9.有罪の認定理由は被告人が納得するよう丁寧に書く
10.常に、「市民の目」を持ち続ける



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