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国際物品売買条約における物品の適合性/島田真琴

慶応法学所収の講演録

CISGによって、日本法にどのような影響が生じるか、ということのうち、CISGにあって、以前の日本法にない「物品の適合性」という概念が、日本においてどのように解釈されるか、ということについて論じている。

物品売買の対象物に欠陥があった場合、日本法(without CISG)では、特定物と、種類物とで扱いを異にしているわけだが、CISGでは、物品の適合性という概念のもと、両者を区別することなく取り扱っている。CISGが日本法の一部となったこともあり、日本法のもとではこの概念はどのように理解される可能性があるのか、具体例を基に、英国法、米国法(カリフォルニア州法とUCC)との比較を交えて論じている。

その上で、日本法においては、今回のCISGの導入により、種類売買については、「中等の品質」の判断基準や、契約目的物の「瑕疵」の判断基準を用いて「物品の適合性」を判断し、特定物売買においては、契約の目的を達成できるかどうか、相手方がその契約に基づいて期待することができたものを実質的に奪うような不利益を当該相手方に生じさせているか、という基準を用いて、従来の両者の区分に基づく判例法理を一部修正しつつ維持することになるのではないかと結論している。そのうえで、同じ条文でも、条文それ自体の持つ曖昧さ故に、取引慣行や先例との整合性まで勘案すれば、解釈が国によって異なっても問題はないとしている(実際に、設例について、各国の弁護士に聞いてみたら、やはり解釈は割れたとのコメントもあ注記されている)。

また、現時点でのCISGの日本における使い勝手は、日本での裁判例が少ないこともあって、必ずしもよくないし、準拠法に指定するのもお薦めできないとしている。ただし、日本での裁判例の積み重ねで、改善される部分もあるうえに、重要性は今後ますます増すので、軽視し続けることもできないとしている。

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読んだ感想としては、確かにそうだよね、というところ。ただ、事例に基づき、解釈の可能性の幅を示してあるのは、「腑に落ちる」感が大きかった。事例に基づいて考えてみないと、僕みたいな人間には分かりにくいので。

個人的に、笑ってしまったのは、文中にある次のくだり。

「最近、有力学者及び法務省は、日本民法の合理化・国際化を目指し、瑕疵担保責任に関する規定の廃止・変更を含む民法(債権法)の大改正に向けた動きを進めているが、長年親しんできたルールの変更は余計な混乱の種になるので、民法の大改正は取引界にとってはむしろ望ましくない事態と考えられている。」

まあ、先のこと、遠く海の向こうのことしか意識せず、身の回り、足元で起こる混乱についてどのように収拾させるかまで、手当がされていないというか、手当をすることをあまり考えていないように、受け取られれば、こういう批判が出るのは、ある意味当然のことなんだろう。改正を進める側の説明不足と言われても仕方が無いだろう。

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