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独禁法講義 第5版/白石忠志



白石教授の概説書の第5版。「独禁法の本当の姿を、わかりやすく構造化」というのがご本人のコメント。

複雑怪奇な部分を取り除いた構造を分かりやすくという意図は非常によく伝わってくる。最初に、どこの国であれ、独禁法ならば共通に持っているであろう構造について、説明し、その後もその裏付けの一環として、特殊な問題も含め日本の法典およびその運用について説明するという構造になっている。これは、企業法務などでは、国をまたぐ取引が一般化している中、特に独禁法は国をまたぐ形での執行がさかんなことからすれば、非常に有用なのではないかと思う。特定の国を前提にしない議論を前にくくり出す形を取っているがゆえに、多少構造がややこしくなっているが、その分、読者を迷わせないように、ナビゲーションもしっかりしている。

とはいえ、上記のような作りをしている関係で、特に最初の部分の抽象度が高めで、とっつきにくいという感じが、前の版を読もうとした時もあったし、今回もそれは感じた。そういう意味で、まったく独禁法を知らない人がいきなり読んで大丈夫かというと、正直自信がない。僕自身も他の本(ベーシック経済法)を読んでから読んだり、他の方法で勉強した経験があったから、混乱が少なくて済んだという気がしているから。
また、ゼロからの読者をとっつきにくくしていると思ったもうひとつの要素は、白石教授が、独自の立場を取られている一方で他の多くの立場の方々の見方について説明をしている部分。もっとも、この辺りの説明がないと、他の見方に慣れている人にとっては分かりにくくなるので、さじ加減は難しいのではなかろうかと思う。

とはいうものの、とっつきにくい反面、頑張って読むと、図解も含めて、整理のされ方が明快なので、どこまで理解できたかはさておき、読んでいて、なるほど、と思うところが多い。日本の独禁法や、独禁法をとりまくもろもろの事柄を、鋭利に斬って行く辺り(例示をしようかと思ったが、多すぎるので現物をご覧あれ)は痛快ですらある。

一読し終えて、一番不思議だと感じたのは、何故白石教授の立場が、少数なのか、ということ。他の研究者の方々と経歴のうえで、極端に特殊なところがあるのかないのか、必ずしも判然としないものの、他の方々とは一線を画しているように見受けられる。このあたりは、いつぞやのBLJ誌冒頭のコメントでも明らかだったように思う。何故他の方々は同様の立場に立たず、教授の言を借りれば、狭いサークルの中に居るように見受けられるのか、何故白石教授だけ例外になったのか、その辺りが僕にとっての一番の謎だった。この辺りが分かると、審判制度の廃止をめぐる議論も理解しやすくなるのではないかと思うのだが…。

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