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CISG適用排除について

気になっているけど、手が回っていないのがCISG対応。

現在某欧州系大口顧客との取引契約を見ているが、適用は排除になっている。欧州系の別の企業との大口の契約で締結済のものを見ても排除になっている。

個人的に見聞きした情報からすれば、僕自身も適用にはポジティブな感じは持てない。前にも書いたかもしれないが、事態が却ってややこしくなるような気がしてならないからだ。僕が理解する限り、締結国でも適用留保とかがついている国(中国等)については、個別の取引に本当に適用されるのかは、細かく見ていく必要があるし、仮に適用されるとしても、適用範囲はいうほど広くない(と理解している)。そうなると、これらの点だけでも、費用対効果があわないのではないかと思うのだ。

その割に、世の中の日本の法律系雑誌を見ても、適用を勧める記事ばかり。誰がどう見ても、適用すべきという結論になるとは思えないのに、何か裏があるのか、と勘ぐりたくなるくらいだ。そうはいうものの、一人くらい反対している弁護士さんがいてもおかしくないのではないかと思って探したら、blogではあるが、そういうコメントをされている弁護士さんがおられたので、メモ。

知財弁護士の本棚

木村弁護士と言うと米国特許法とかの本が有名だけど、blogではCISGについての説明のエントリがあり、次のコメントが個人的には、非常に納得が行く内容になっている。

ウィーン売買条約の解説(3)
からの引用。

結論として、私は適用を排除した方がよいと思う。理由の1は、ウィーン売買条約の特徴である解除権の厳しい制限のほか、黙示の保証的な規定などの存在。後者は特に、売主側にとって不利に働く可能性が高い。

  

 理由の2は、調査の負担の増大。ウィーン売買条約は締約各国の裁判所によって適用され、加盟国は外国の判例も参照すべきことになっている。判例が突出して多いのはドイツ、次いで中国であるという(文献①14頁)。日本企業とアメリカ企業が契約を締結しようとするとき、ドイツと中国の弁護士を雇う余裕がありますか、という話である。


 この点、NBL887号24頁は、「日本企業は、国際私法による準拠法指定に伴う不確実性のコストおよび外国法が準拠法に指定された場合のコストを回避することができる」「多様な外国法制に対応する必要がなくなる」と書いているが、とんでもない間違いであると思う。条約によって「不確実性のコスト」は増大するのである。


 理由の3は、ウィーン売買条約の対象領域の狭さ、特に契約や条項の有効性については対象としていない点。したがって、有効性の問題は、「本契約はウィーン売買条約による」と書いても、いずれかの国内法によるのである。そんな中途半端なことならば初めからいずれかの国内法を準拠法と指定した方が簡明である。



理由その3については気づいていたが、その他は、不勉強にもここの指摘を受けてなるほどと思ったところ。その2については、調査コストが出せれば、問題にならないのかもしれないが、そういう状況にないのでやはり問題。その1についても売主としてはやはり問題。

別にこの記載に依拠するつもりはないけど、適用排除を考えている人が自分ひとりではないということでちょっと安心した。

追記)前に書いたエントリで、CISGに関するセミナーに出た時のことを書いていた。その時は、解除権に関する規定がややこしくて、使いこなせないだろうと、自分でメモしていた。綺麗に忘れていたらしい。ダメじゃん>自分
(まあ、木村弁護士の見解を見つけて、嬉しかったからこのエントリを書いたというだけなのだが…。)

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Re: タイトルなし

外務省のサイトによると
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty169_5.html
# 昭和55年4月11日 ウィーンで採択
# 昭和63年1月1日 効力発生
ですね。
USについては、
http://www.cisg.law.pace.edu/cisg/countries/cntries-United.html
によると
1988年1月1日
です。効力発生と同時ってことですかね。
日本では2009年8月1日から効力発生(日本法の一部になっている)ということです。

それでは。

> なるほど。
> 条約締結前に成立していた契約にも及ぶんでしょうか?
> というか、この条約、いつ発効したの?
> あちこちで騒がれているのは少し前から目にしてますが。
>
> #いつどういう風に法務に振るかが難しいんですわ・・・。

なるほど。
条約締結前に成立していた契約にも及ぶんでしょうか?
というか、この条約、いつ発効したの?
あちこちで騒がれているのは少し前から目にしてますが。

#いつどういう風に法務に振るかが難しいんですわ・・・。

補足

以下の補足…というか、こういうコメントを最初からすべきだったのでしょう。
CISGは連邦政府が締約した条約(条約の締結権限は州にはないので)。つまりCISGは連邦法。しかも連邦の普通の法律よりは優先順位が高いという扱い。
一方で、UCCは州単位で採用されている(州ごとに修正しているケースもあるはず)州法。
よって、連邦法が州法に優先するということからすれば、CISGがUCCに対して優先適用されても不思議はないかと思われます。

そりゃ法務マターでしょうね

senri4000さま
こんばんは。確かにそれは契約上の権利義務のお話ですから、素直に法務に振るのが宜しいかと。
一応米国もCISG締約国ですから、適用を契約上排除していない限りは、適用されてしまうわけです。

それでは。

こんばんは。
とある米国訴訟案件で、サプライヤが多重になってるものがあるんですが、そこでいかにIndemを引き出すかの文脈で、この場合、UCCじゃなくてCISGが適用されるから云々と言われたりしておりますが・・・。

正直言って守備範囲外も大きく外。
なんのこっちゃでございますわ。
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