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日本の刑罰は重いか軽いか (集英社新書)/王 雲海



香港/中国本土出張前に買っていたのだけど、たまたま持っていって、帰りの成田行の飛行機の中で読了。良いタイミングだったかもしれない。

中国、アメリカとの比較で日本の刑罰制度やその背景を考えるというような本で、内容は面白いが、「日本の刑罰は重いか軽いか」というタイトルが良かったのかどうか、疑問に思う。読む前から、そんなのは、受け手の側の価値基準によるので、重いとか軽いとか言い切れないと思っていたが、そこから大きく離れる結論が出ているわけもなく、そういう点について、何らかの形で断言するような内容を期待すると肩透かしに終わると思うから。

中国出張の合間に読んでいたこともあり、次の2点が特に印象に残った。中国で法学教育を受け、その後日本、アメリカで法学研究を行っている中国人の著者が述べているということで、指摘の重みが増すのではないかと思う
  1. 中国の刑事制度上は、量的に重要でないものは犯罪とされないという点。この点は、日本とは明らかに違う点なので特に中国でビジネスをしている企業の法務担当者は、認識しておくべき点だと思う。
  2. 中国の刑事訴訟が速さ志向という点。これらの点は、日本の企業の駐在員が現地で被疑者となって、会社側としてもディフェンスをしなければならない場合には、クリティカルな問題になりうると思う。


加えて、冒頭に出てくる、「暗数」「虚数」という異なる概念を用いて、治安悪化への懸念をどう捉えるかという点は、面白いだけではなく、個人的には感覚と符号するので、読んでいて、「腑に落ちる」感じがした。

とはいうものの、論旨の進め方には性急な感じがしたところもあったし、論理をサポートする十分な事実の摘示があったかというと、疑問の残るところもあったように思う。事実認識についても、気づいたところでは、日本の刑事訴訟における事実認定の水準についての記載は明らかに間違っていると思う。

そういう点を差し引いても、3極比較を通じて、日本の犯罪や刑罰に関するイメージを説明するという試みは、読んでいて面白いし、一定以上成功していると思うので、読んでおいても損のない一冊と言ってよいだろう。

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