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How can Japanese corporations protect confidential information in U.S. courts? Recognition of the attorney-client privilege for Japanese non-bengoshi in-house .

amazon.comで入手可能。僕は別のルートから入手した。

米国の訴訟の中で悪名高い手続のひとつにdiscoveryというのがある。これは、訴訟の相手方に対して、自社側にある関連する情報を原則としてすべて開示するというもの。それにより、トライアルとかに行く手前で和解が促進されるという機能がある。まあ、素人の陪審を拘束する陪審審理は避けられるなら避けた方がいいという面では、悪くない発想という見方も不可能ではないが、いずれにしても、負担が重すぎて、評判の良い手続ではない(特に昨今ではeDiscoveryと言って電子データも明示的に対象としているので、さらに負担感が急増しているし)。

もっとも開示には一定の例外があり、そのうちの一番有名なものが、attorney-client privilege。ざっくりした言い方をすれば、弁護士さんと十分に相談できるように、依頼者が弁護士に法的な支援を求めて相談する内容は、上記のDiscoveryの対象から外して、開示しなくても良いというもの。

ちなみに、ここでいう「弁護士」に企業内部にいる弁護士(どこの国の弁護士かは問われない模様)、いわゆるin-house counselが含まれるかどうか、という点については、連邦最高裁での次の判例により、認められていると考えて良いようだ。
Upjohn Co. v. United States, 449 US 383 - Supreme Court 1981
(この判例についても、読んだうえで、別途ネタにしたいと思う。)

アメリカみたいに企業内部に弁護士がいるところでは、この制度の下、企業内部での法務相談もこの特権で保護されるのだが、日本では、少なくとも今のところは、そういう状況になく、そうなると、企業の法務に相談した内容は保護されないということになるのではないか、という気がする。日本の法務担当者は、アメリカの企業内部の弁護士と実質的に同じ機能をしているし、能力面でも遜色がないにも拘わらず、資格の有無だけでそういう差異を生じさせるのがfairなのか、という疑問が出ても、それほど不思議な話ではない。

この論文では、そういう疑問に答えるべく、弁護士でない日本の企業の法務部員に相談した内容について、どうやってAttorney-client privielgeを主張するか、という点を、米国の制度の概観、日本の制度の概観、諸外国の制度との比較、を踏まえたうえで、検討をしている。こんなネタで何か書こうとするのは日本人の法務部員しかいないよな、と思ったら、著者は日本で企業で法務部で働かれたあと、VanderveltのJDに通われていた(当時)方とのこと。さもありなん。

今後もうしばらくすると、新しいロースクール出身の弁護士有資格者の方々が、企業の法務部の中で占める割合が高くなるのかもしれないけれど、そうなるまでにはもうしばらくは掛かりそうなので、上記の問題について検討する価値は十分にあるように思う。

この点については、藤田泰弘先生の「日/米国際訴訟の実務と論点」で触れられており(この本以外でこの問題を検討した邦文の文献は知らないけど、関係部分はついでに読んでみた)、結論としては、この論文も藤田先生の結論と同じところ、つまり法務部のマネージャークラス以上であれば、Attorney-client privilegeを主張する余地があるのではないか(それでも常に認められるかと言うと微妙というか、認められるのは難しいのではないか、という気がする)、というところに落ち着いている(藤田先生の議論よりは検討範囲が広いけど)。

ここでは、いくつかのアプローチを検討して、特権が認められそうなのは、実質的な能力などに基づくアプローチであるとしたうえで、2つの判例(ミノルタがハネウェルと争ったケースとレミーマルタンのケース)特に、後者のケースから、法務のマネージャークラスであれば特権主張の余地あり、ということになっている。ただ、法務の担当者では不足で、マネージャーなら特権の主張が認められるかもしれない、という議論の部分については、藤田先生の議論に依拠していて、藤田先生の議論は、前述のupjohnのケースとのバランスとところからのみその結論になっているので、正直今ひとつ議論が煮詰まっていないという印象が残った。まあ、マネージャーについて認められれば、その下はマネージャーのagentであるということで対応すればいいのだろうが。

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弁理士さんについてはケースが色々あるようです

senri4000さん、おはようございます。いつもどうもです。
社内で誰も資格者がいないと、結構難しいですよね。だから僕も取ったのですが…。
in houseとの関係では、outside attorneys eyes onlyになったりするケースもありますよね。
日本の弁理士さんについては、特許訴訟で問題になったケースが結構あるものの(今回の論文でも結構出てきます)、なかなか難しいようですね。この中ではEizaiの事件(406 F.Supp. 2d 341)で弁理士さんについてprivilegeの適用を認めた事例が紹介されたりしていますです。

それでは。

No title

おお、面白そうですね。読んでみたいな。
ここは結構関心が高いというか悔しい思いをすることが多い部分なので、なんとかならんのかとよく思います。in-houseがpriviledgeの対象になるのかどうかというのは大抵みとめられますが、Attorneys eyes onlyになるとoutsideしかだめだったりするので、資格を持ってりゃいいというわけでもなかったりはしますが。
なんにしても、相手の機密情報をみる人数を制限するような場合に、lawyer資格保持者が社内に誰もいないと、困るケースはちょいちょいあります。
付記弁理士資格の保持の有無を聞かれたこともありますが、それが有効なのかどうかはいまだ不明。
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