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建築関係訴訟の運営について-民事調停手続の活用を中心として

東京大学法科大学院ローレビュー第4巻(2009年9月)の論説

「建設関係訴訟について、審理の質を落とさないように留意しながら迅速化を図り、当事者の満足度を上げていく」ためのいくつかの工夫についての紹介。出ている成果も含めて紹介されているので説得力がある。

ざっくり言うと、方策として上げられているのは、次の諸点。
  1. 計画的な審理。特に初期の時点で終局まで見通した審理計画を策定する。それにより当事者のスケジュールに対する予測可能性が向上する。
  2. 争点整理を入念に行うこと、特に、専門家の知見を取り入れるべき項目とそれ以外の項目との仕分けが重要
  3. 民事調停手続を利用した専門的な知見の導入。それにより鑑定によらずして、簡易・迅速・安価に専門家の意見が徴求可能。
そのうち、民事調停手続を運営する上の工夫点としては、これまたざっくり言うと、次の点が上げられている。
  1. 計画的な手続運営。これにより当事者側の手続に対する予測可能性を確保。
  2. 裁判官主導の進行と当事者が意見を述べる機会の確保。裁判官が毎回立会うことで、調停不調になっても裁判官への再度の説明は不要になるし、調停委員の意見で裁判所が心証を固めてしまうという懸念に対しては私的鑑定の提出などの提出機会の確保
  3. 多様かつ高度な専門分野に対応可能な調停委員の確保。ボランティアベースで調停委員を引き受けている専門家への負荷の軽減を図る。
  4. 調停委員の負荷軽減策:
①争点整理手続の先行により、専門家の知見を要する項目を明確化
②専門家に見てもらうべき書証などを第1回手続前に送付
③進行は裁判官が行うことで、調停委員は専門的知見に基づく意見を述べることに専念できるようになる。
これらの方策は、建築訴訟に限らず、専門性が高いとされる紛争(税務とか会計とか医療過誤とか独禁訴訟とか)でも、ある程度は使えるテクニックなのではないかと思う。

時折、専門性が高いことをもって、裁判所にこれこれの分野に専門部を設けるべきだと言う主張を見受けるのだけど、基本的には当事者の説明の仕方の問題ではないのかという気がしてならない。また、専門部を設けるといっても、裁判所の人的リソースや物的リソースに限りがある以上、全部の裁判所で設けるのは難しいだろう。特許みたいに、管轄裁判所を限定して、そこに専門部をおくというアプローチもありうるけど、個人が当事者になる場合の裁判所へのアクセスの容易さを確保すべきという要請とのバランスを考えると、常に取れる方法ではないだろう。専門部のないところを、逆手にとって、フォーラムショッピングみたいなことを誘発しかねないと思うのである。

そんなこんなを考えると、外部の専門家の知見をいかにして迅速、簡易、安価に取り入れるかというのは重要であって、裁判所に専門部を設けるよりも、そういう方法を裁判官に広めることにお金を使った方が、司法サービスの受け手の側の国民にとっては有用なのではないかと思う。もちろん、この手の技術は弁護士や検事についても、同様に、または、それ以上に必要なのではないかと思う。

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