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「実践的eディスカバリ―米国民事訴訟に備える」/藤村 明子 (著), 金子 宏直 (著), 橋本 豪 (著), 西山 俊彦 (著), 松前 恵輪 (著), 須川 賢洋 (著), 町村 泰貴 (編集), 小向 太郎 (編集), デジタル・フォレンジック研究会 (監修)



編集をされたぽいんと尺さんのtwitterでのつぶやきで見て購入。eDiscoveryについて、技術面や、内部統制との関係も含め、いくつかの切り口について手際よくまとめた本、という印象。対応を迫られた日本企業の担当の方は、まず手に取るべき一冊だと思う。特に技術のところは、内容が陳腐化するスピードが速いと思うので、願わくは適当なタイミングで、こまめにメンテナンスしてもらえると、良いのではないかと思う。

個人的には、eDicoveryがFRCPで条文化されるまでの歴史的経緯や実際の判例の紹介は興味深かった。また、ベネッセでの実例に関するインタビューも含め、内部統制との関係でeDiscoveryに意味付けを与えるという考え方も、示唆に富んでいると感じる一方で、正直今の勤務先では今すぐ対応するのは厳しいよなあ…と思ったのだった。

そんなこんなで、この本は良い本だと思うのだけど、一方で、eDiscovery対応に向けた最初の一冊ではあっても、実際に企業の担当者がeDiscoveryに従事することになったら、直面する問題のうちのいくつかについて、問題の所在を示す(それだけでも十分重要だと思うが)ところまでで、答えや答えに至る手掛かりまでは十分には示してくれていないのではないかという気がする。

僕が気になったような、「この先」については、おそらく、実際の企業の担当者(特にPLとか特許とか、独禁法(!)とか)で、十分な経験を積まれた方々に書いてもらうのが良いのではないかと思う。もっとも、大きな企業でのノウハウと小さな企業でのノウハウは、使える人的・費用的リソースの差異が大きすぎるので、例えばトヨタとかでのノウハウが仮に開示されたとしても(しないと思うけど)、他の企業でどこまで使えるかについては、疑問が残るが。

僕が気になったのは、具体的には次の諸点。書いてみて、気にしすぎのような気がするが…。
  1. ベンダーとかを使うにしても、そのベンダーの能力をどのように見極めるか。少なくとも英語以外の言語でのコミュニケーションが主な場合に、英語でできることがすべてできるということは考えにくい。キーワードを使って、関係ない情報を除去するとしても、そのキーワードの選定の仕方は、同じ単語でも、カタカナ、平仮名、が混じっていたり、全角・半角が混じっていたりする。文字コードの問題もある。そういうところまできちんと扱う技術的な能力がある会社でないと、きちんとした対応を期待するのは難しいのではないか。この辺りは日本人スタッフがいて、日本企業の事情に詳しいところでないと対応は難しいだろうが、それでも結構な企業数がある。その中でどう評価すべきなのか?というところが気になった。
  2. 紙の資料のDisvcoveryとの整合性をどう考えるか。電子データでは使える様々なテクニックが紙相手には使えない。現時点では日本の企業で完全なペーパーレス化をするのは難しいだろう。紙の資料も電子化するとしても、それをどうやるのか?どこまでのことができるのか(OCRは日本語の場合英語よりは難しいと思うが…特に手書きの文字は)。
  3. eDiscoveryの終わらせ方。初期対応が一番重要かもしれないが、一旦対応が一段落着いた後、終わるまでの間はどうするのか、正直よく分からなかった。データをいつまでもベンダーに預けっぱなしにしておかないといけないのだろうか?また、終わらせるときには、ベンダーからもデータを引き上げるのだろうが、そう簡単な話だろうか?一旦渡したデータを完全に削除させるのは、それほど簡単ではないように思う。

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確かになかったですね。

こんばんは。いつもどうもです。
ご指摘のとおり、確かにDiscovery/eDiscoveryについて、日本語の本は見たことがないように思います。それだけでも十分貴重な資料だと思います。
対応は…今の勤務先ではなんとも…。

それでは。今後とも宜しくお願いいたします。

No title

こんばんは。
本書、私も昨日入手して読みました。
Discovery/e-Discovery関係がまとまって読めるのはありそうでなかったので大変ありがたいですね。
正直当社も(こんなに案件を抱えているにも関わらず)対応はまだまだなので手探りで進めています。もう少し方向性が出てきたら差し支えない範囲で書きたいと思いますがまだまだ時間がかかりそう。

No title

ぽいんと尺さま、こんばんは。お呼び立てして恐縮です。
感想を書いたらあまりpositiveに見えないかもしれませんが、良い本だと思います。
書きましたように、テクノロジーや判例は動きが速いでしょうから、今後も適宜updateしていただけるとより使い勝手がよくなるのではないかと思います。
今後とも宜しくお願いいたします。

ありがとうございます!

早速ありがとうございました! 日本と訴訟手続が違うためになじみがないディスカバリという概念と、どんどん進化する技術的ソリューションの間でどのあたりに軸を定めるかを編者の先生方はじめ苦労されたと思います。やはり判例の分析が大切かな、と作ってみて思ったしだいです。どでかい日本企業を相手にした超大型クラスアクションもこれから起こるようですので、目が離せない分野になりました。何らかの形で次々にアップデートできたらいいと思っております。また忌憚のないご意見をお寄せ下さい。
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