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Speed 命?

土砂降りの街角、ずぶ濡れの瞳はたぶん…とわかりにくくてすいません(挨拶)。
#一部わかりにくいところを加筆修正しました。

それはさておき。

最近社内にある英文NDAの雛形を見直していた(まだ途中だけど)。ビジネスのスピードを落とさないためには、いちいち法務のお伺いを立てないでもいいように、雛形を用意しておく(今の勤務先では、雛形から文言を変えなければ、社内決裁不要としている)ということをしている。これは、サンプルの評価とか実作業を要する場合には、モノを出す前に何か取り決めておくべきだが、いちいち条件の議論をしていて、その分実作業が遅れるのでは、ビジネスの足を引っ張ってしまってこまると言う考慮による。

雛形に手を入れた点のひとつとして、情報漏洩の危険があるときに、仮処分とかの提起ができるようにする旨の記載を追加した。使う機会があるかどうか、それから、きちんと機能するかどうかはさておき(状況次第という面もあるので)、入れておくべきと判断したからなのだが、文言を考える際にちょっとこまった。

英文のNDAでよくある文言をそのまま入れることを考えたのだが…部署内での指摘で、?と思って悩んでしまった。

よくある文言は、これは、英米法ベースの議論が前提に、
①そもそも、common law上での救済ではなく、equity上の救済措置であること。つまり、common law上は金銭賠償が原則のところ、例外としてequity上認められる措置であることが前提
②よって、仮処分は、金銭賠償では解決できない種類の損害を回復することを目的としているので、漏洩による損害が生じた場合には、金銭賠償では解決できない損害であることについて合意しておく必要がある
という発想に基づき書かれている。

しかしながら、英文のNDAとはいえ、英米法以外の準拠法下で使用することも想定しておく必要があるところ、上記の理解を前提にした文言が、英米法以外の国で(例えば日本とか中国で)、予定したとおりに機能するかどうか、疑問があるのではないかという指摘が出た。特に、equitable reliefが認められるとか書いてしまうと、common lawとequityの概念の対立を前提としていないところで、どういう解釈をされるか不明点が残るのではないかという指摘には、悩んでしまった。

要するに、英語の契約書だから、といって、英米法ベースの議論、語法に基づいてドラフトしていると、足元を救われやしないかというところが大きな問題。当事者の意図として、英米法ベースの議論を踏まえた理解をしていたことまでは、認められるような気はしなくもないが、裁判所がどういう判断をするか、を保証するものではない。

もちろん、雛形の話なので、たとえばNY州法とか、イングランド法とかを準拠法にしておくことで、そういう考慮をそもそも不要にするという対処法も考えられるが、相手のあることなので、それが常に通るかどうか分からない。他の契約との整合性を考えると他の準拠法を指定しておく方が便利なケースがないとは言い切れない。

そういうことを考えて、悩んだのだが、とりあえず、上記の理解を記載したうえで、equityとか言うコトバを使わずに、それでいて、通常の救済手段に加えて、injunctive reliefも認められるということを明文で書く形を取って見た。この文言でOKなのかどうかは正直訴訟とかにならないとはっきりしないが…そういう日が来ないことをとりあえず祈ることにする。

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実際どうなんでしょうね?

臥竜窟様、コメントありがとうございます。
"at law or in equity"、まったくもって、この文言に引っかかったのでした(苦笑)。
まあ、一応秘密保持のための手段はあるものの、訴訟とかはやりにくいでしょうね。公開が原則ですし。私も判例は存じ上げません。
なかなか訴訟になじまないという点は私もそう思います。暗数多いと思いますです。

それでは。今後とも宜しくお願いいたします。

大陸法文化とequity

私の会社でも、相手から提示されるNDAドラフトに以下のような文言が書かれているのをよく見ます。(特に外資系企業は多いですね)

"The Receiving Party acknowledges that any actual or threatened breach of this Agreement will constitute immediate, irreparable harm to the Disclosing Party for which monetary damages would be an inadequate remedy, and that injunctive relief is an appropriate remedy for such breach."

dtkさんのおっしゃる通り、"at law or in equity" というような文言では、その解釈をする裁判官の判断の予測可能性という側面から問題があると思います。また、それ以上に、そのNDAを実際に使用する現場にとっても分かりにくいでしょうから、ユーザーフレンドリーではないでしょうね。

企業間の秘密保持契約書違反に関する判例というものが、我が国においてはそもそも無いような気がいたします。不正競争防止法との関連では判例があるのかもしれませんが、純粋に秘密保持契約書の違反に基づく訴訟というものは聞いたことがありません。(このあたり、私が知らないだけかもしれませんが)

紛争になっているけれども、裁判所に訴えないというケースが暗数として存在しているのかもしれませんが、もし仮にそうだとすると、秘密保持契約上の紛争自体がそもそも裁判所による解決にはなじまないのかもしれません。

コメントありがとうございました

こんにちは。hibiya_attorneyさま、コメントをありがとうございました。
ご指摘のとおり、必要性などまで考えると、実際に仮処分まで認めてもらうのは難しいケースのほうが多いのかもしれません。
上記の件では、規定がないことにより、仮処分による道を閉ざされることを懸念しており、事前の雛形のドラフトなので、後は個別事案で対応という線を考えています。

ともあれ、ご覧いただいているとは思わず、ちょっとびっくりしました。グダグダなblogですが、今後とも宜しくお願いいたします。

No title

いつも楽しく拝見させていただいております。
おっしゃるとおり、契約書が英語であっても、準拠法が英米法ではないのであれば、英米法ベースでドラフトすることは裁判所でどのように解釈されるかは不透明ですので控えたほうがいいかと思います。したがって、英米法以外が準拠法の場合には、injunctive reliefが認められると書く方がやはりよいかと思います。

ただ、その場合でも、例えば日本法の場合には、合意さえしていれば必ず裁判所は差止めを認めてくれるのかという別の問題が生じるかと思います。

本案訴訟との関係では、不正競争防止法上の営業秘密に該当しないものであっても、差止めは認められるのか、その前の保全処分の段階では、そもそも保全の必要性が認められるのかというところが問題になってくるのではないでしょうか。

後者について言えば、相手方は保全手続において保全の必要性を積極的に争うことができないという運用をすることはできるかもしれませんが、「著しい損害又は急迫の危険」の疎明がなされたという取扱いまでは法律上は困難ではないかなぁなどと個人的には考えています。

また、この種のネタを楽しみにしています。
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