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「内部統制とは、こういうことだったのか―会社法と金融商品取引法が求めるもの 」/國廣 正, 五味 祐子, 小澤 徹夫



諸般の事情で、仕事上は直接関与しない内部統制について、理解をしておいたほうが良いな、と思い至り、本をよむことにした。ネット上では、日経文庫の町田先生の本とかを薦める声が多いような気がしたけど、手に取ったら3ページくらいであっさり挫折してしまい、監査法人系の本は、実務の詳細に入りすぎていて、途中でこれも断念した。他に適当な本がないか探して、行き当たったのがこの本。

内部統制がなぜ必要なのか、というそもそも論から説き起こし、コンプライアンスやBCPも含めた、やや広めの文脈から内部統制を位置づけ、会社法と金商法それぞれが求める内部統制の範囲の違いも分かりやすく整理されている。弁護士と担当者の会話形式も読みやすく感じさせてくれた。細かな実務についての話は出てこないけど、僕はそういうことが知りたかったわけではないから問題にならない。法務の視点から内部統制をどのように理解したらよいのか、ということが分かりやすいので、法務の人が内部統制について知りたくなったときに、最初に読む本としてお勧めできると思う。
書いているのが実際の内部統制監査をする会計士の方々ではなく、監査をした結果、取締役の善管注意義務違反等が訴訟などの形で問題になったときに対応する弁護士さんなので、内部統制に関する大騒ぎに一歩引いたところから見ているのも面白い。特に、業務プロセスの文書化について、現状を、次のように述べられるのは一歩引いたところにいるからだろう。

メリハリの客観的基準が示されずに困っている監査法人と、メリハリをつけたくても怖くてできない経営者の心理が競合して、みんながおかしいと思いながら、無難な安全策としての網羅的な文書化に走っている。これが現状かもしれません。



法務の仕事との関係では、取締役の善管注意義務違反の主張に対する防御をするという観点では何が必要か、システムや文書があっても実際に機能していなかったら防御にならないと、神戸製鋼所事件の和解に際しての裁判所所見を引いて述べているところは、思い当たる節のある人も多いのかもしれない。また、法令改正により、内部統制に求められるレベルがあがったのに対応が遅れるとそれにより内部統制システム整備義務違反になるということは、法務としては、内部統制をやっている部隊に法令改正があった場合には、注意喚起する必要があるということに気づいた。


その他には、順不同で次のような記載が印象に残った。

・「困ったときは抱え込まずに他人を巻き込む」こと、つまり制度的対応が効果的です。特にトップと上下関係のない社外の人間(社外監査役、内部通報先の法律事務所など)を巻き込むとよいでしょう。
・リスク管理は、「企業に間違いは起こりうる」という現実論から出発しなければなりません。リスク管理を行う際、「あってはならない」という精神論は有害です。
・内部統制の環境は、トップの具体的なメッセージを繰り返し発信して作る。
・処分を目的にしない相談やヒアリングの方がリスク情報を得やすい。
・言行一致のトップは現場を動かす。



正直なところ、内向きのこういう仕事は、重要性は認識するものの、あまり興味を持ちにくく、かつ、やってみようと言う気にはならないが、この本で何だか良く分からないと思っていた基本的な考え方を整理できたのは有用だった。


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