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「憲法入門」/長谷部恭男



本屋でカバーを見て購入。ジャケ買い(?)というところ。固くて、白っぽいカバー。縦書きで下に余白の多いレイアウト、というあたりから故芦部教授の「国家と法(1)」を思い出した。とはいうものの、末尾に日本国憲法の本文部分が全文出ているので、それ以外の本論部分は140ページ程度とコンパクト。
(どうでもいいが、2010年1月17日21時現在ではamazonの商品紹介のところは著者名が出ていない。何故だろう?)

憲法の入門ではあるけれど、判例がどうのこうのという話は控えめで、政治学とかで取り上げるような話が多め。全体と通して素っ気なく、物足りない感じもしなくはないが、あまり熱く語られても読者が引くだけかもしれないし、シニカルな芸風のようなので、こんなものなのかもしれない。

日本には何か天に与えられた使命があって、人類全体の幸福のために責任を果たさなければならないのだという妙な考え方は(そんな日本人の思いは、他の国民は真面目に受け取らないと思いますし)しない方が自分のためでもあり、相手のためでもあると思います。


これはManifest Destinyとかを持ち出すあの国への皮肉なんだろう。

この他にもいくつか印象に残ったところと若干のつぶやき?をメモ。

むしろ、財産権の場合と異なり、生存権の保障については、何が健康で文化的な最低限度の生活といえるか、そして、それを支えていくための適切な手段は何かについて、法律家の間でこれこそがそれだというコンセンサスが形成されていないことが、最高裁が消極的な態度をとる原因ではないかと考えられます。財産権であれば、単独所有ことが金田市民社会の原則的な所有のあり方だと、最高裁は自信をもっていうことができましたが、(最大判昭和六二・四・二二民集四一巻三号四〇八頁<森林法共有林事件>)、生存権については、そうした標準的な制度のあり方が決まっているわけではないということになります。

判断基準がしっかりしていないと、拳も振り上げにくいってことでしょうか。

しかし、たとえば、プライヴァシー権が一三条によって保障されるのは、それが憲法のよって立つ立憲主義の理念からして、当然に保障されるべき権利であって、そういう意味では「新しい権利」とはいえないからです。そうした権利で、憲法第三章の個別の条文に手掛かりのないものについては、権利を包括的に保障している一三条が引き合いに出されてしかるべきだということになります。

なるほど。いつの間にか権利が生まれたわけではなく、もとから権利として保障すべきものだったからこそ、保障すべきかどうかの舞台にあがった以上、保障するという結論になって、そのための道具が十三条、という感じなんでしょうか。

また、第一章六(一一頁)で説明したように、立憲主義の基本的な手立ては、人の生活空間を公と私に区分することです。私的な領域では、自分がこれこそ生きる意味だというそうした考えに基づいて、自分のせいを構想し、志をともにする仲間(たとえば配偶者)と生きてゆくことができます。そうした生の領域が各自に保障されていない限り、逆に、人は、社会全体の利益のためにそうした私的価値観を脇において公平無私な立場から考えようとは思わないでしょう。特定の世界観が公的な空間を占拠し、それが各自の私的空間にまで侵入してくる社会では、各自が大事にする考え方によって生きる自由は、その社会の多数派にしか保障されません、そうした社会では、公共空間が多様な私的価値観の分捕合戦の場となり、熾烈な闘争と社会的亀裂を生み出しかねません。プライヴァシーを保護することは、公共空間での民主的な審議と決定が良好に機能し、社会公共の利益を生み出す適切な場となるための条件となります。

プライヴァシーを保護することの重要性を、公共空間での民主的な審議との関係で論じるということは、正直考えてもみなかったので、なるほど、と思ったところ。

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